日本語教育能力検定試験 – 試験Ⅰ解答

問題1対策(1)正解 4
4のみ破裂音有声軟口蓋 。他は、1:有声歯茎鼻音、2:有声硬口蓋鼻音、3:有声軟口蓋鼻音、5:有声口蓋垂鼻音。

問題1対策(2)正解 5
5の「いい」は、「よくない」「よくて」「よかった」など、語幹部分に音韻的な変化「い」と「よ」 がある。

問題1対策(3)正解 1
1は「通過点経由点 」を表す。他は「経路 通り道 」の用法。

問題1対策(4)正解 3
3「あたる/はずれる」は両極的対義語。他は視点的対義語。

問題1対策(5)正解 4
4は動詞「ある」の連体修飾連体形 。他は連体詞。

問題1対策(6)正解 1
1のフランス語はイタリックロマンス 語派、他はゲルマン語派。

問題1対策(7)正解 2
2はシネクドキー提喩 の例で、「緑」という上位の概念で、下位の「植物 木々の葉 」を示している。他は類似性に基づくメタファー 隠喩 の例。

問題1対策(8)正解5
5は、硬口蓋歯茎後部歯茎 音。他は、歯茎音。

問題1対策(9)正解 1
1の「起きます」は、一段動詞。他は、五段動詞。マス形にすると、「~きます」と同じ形になるので注意が必要。

問題1対策( 10 )正解 2
2では、事務所が「受け手
着点 」となっている。他の「~に」は、存在する場所を表す。

問題1対策( 11 )正解 1
1の「川下り」も「川を下る」であるが、この場合の「川を」は経路通り道 の解釈を持つ。他の「~を」は、対象を表す。

問題1対策( 12 )正解 4
4の「学生はもっと真剣に勉強するものだ」は、命令・注意・助言の意味合いを持つ。他は、単にそれが当然であること、当たり前であることを表す。

問題1対策( 13 )正解 3
3の「ノルウェー語」はゲルマン語派であるが、他はイタリック ロマンス 語派。

問題1対策( 14 )正解 4
4の「パソコンが凍ってしまった」は、メタファー隠喩 の例。「液体が固体に凍る」というような、固まって動かなくなるということと、パソコンが動かなくなるということの類似性の連想に基づく表現である。他のメトニミー換喩は、隣接関係に基づくもの。「永田町 そこにいる人々 政府の高官」「洗濯機 洗濯槽」「太宰治 その作品」「テレビ そのスピーカーから出る音」。

問題1対策( 15 )正解 2
2は無声音声門摩擦音 。他 は、有声音。1は両唇破裂音、3は歯茎鼻音、4は歯茎側面音、5は硬口蓋半母音 接近音 。

問題1対策( 16 )正解 3
いずれの語も「低-高」の2拍の語であるが、助詞を付けると、「鳥トリ 」は、「平板型 トリが:低-高-高 」で
あり、その他は「尾高型 低-高-低 」であることがわかる。

問題1対策( 17 )正解 1
1は動作の主体・行為者を示しており、「から」が「が」と交替できる。一方、2~4の「から」は、動作の相手・起点を示しており、「から」が「に」と交替できる。

問題1対策( 18 )正解 5
1~4は、いずれも連続的な対義関係の例であるが、5は違う。「あたたかい」は「あつい」と同義ではなく、「さむくない」という状態をプラス的に評価した場合に用いられる。同じ 20 であっても、春の 10 前後の時期では「あたたかい」といえるが、真夏の 30 を超える時期は「すずしい」となる。つまり、「あつい/さむい」は単なる温度の差であり、それぞれの状態はプラスでもマイナスでもない。これに対し、「あたたかい/すずしい」は、いずれもある前提が必要となり、その前提となる状態からプラス的に評価された温度を表す点で異なる。従っ て、連続的 な対義関係は、「さむい/あつい」となる。

問題1対策( 19 )正解 1
1は「好きなお菓子を食べさせてあげた」という「許可」の意味合いが強い。他は、すべて「強制」として解釈される。

問題1対策( 20 )正解 3
3のタイ語はSVO タイプの代表的なもの。他は、 SOV タイプ。

問題1対策( 21 )正解 4
4はメトニミー換喩 で、[テレビ スピーカー 音 騒音 ]という隣接性に基づく比喩。他はシネクドキー 提喩で、1は下位概念で上位概念を表し、2・3・5は上位概念で下位概念を表している ((<下位>お茶 →→<上位>飲み物、<上位>飲む・花・白いもの →→<下位>酒を飲む・桜・雪 。

問題1対策( 22 )正解 2
2は側面音有声歯茎 。他はすべて摩擦音で、1は無声歯音、3は無声歯茎硬口蓋音、4は有声声門音、5は有声軟口蓋音。

問題1対策( 23 )正解 1
1~5はすべて五段動詞であるが、1の「込む」だけが「~む」で終わるのに対し、1~4は「~ぶ」で終わる。

問題1対策( 24 )正解 5
5は「手段」もしくは「様態」的な用法なのに対し、1~4は典型的な「道具」の用法。「道具」は、直接、手にとって操作可能なもの。「手段」は 「パソコンで家計簿をつける」のように、直接、手にとって操作するものではないが、それに近いもの。また、「様態」は「笑顔で挨拶する」のように、身体部分から切り離せないもの。いずれも、動作主体の意図性があれば、広い意味で「道具」と言えるが、細かく分ける場合は、このような直接性や操作性などが異なる。

問題1対策( 25 )正解 4
4の「粒ぞろい」だけが「粒がそろう」というように「<主語>が<述語>」という語構成。他のものは、例えば、1の「皿を洗う」のように、「<目的語>を<述語>」という語構成。

問題1対策( 26 )正解 1
1は「原因・理由」の用法で、「A<原因>によってB<結果>になった」という構文的な意味を表す。これに対し、2~5は主に受動文の「動作主体」を表示する用法で、「A<動作主体>によってB<受動態>~された」という構文的な意味を表す。

問題1対策( 27 )正解 3
3のオランダ語は「ゲルマン語派」。他はすべて「イタリックロマンス 語派」。

問題1対策( 28 )正解 5
5は「~のような」という表現を用いる「直喩シミリ 」。1~4は、すべて類似性に基づく「メタファー 隠喩 」。1は「頭」を「容器」に 例えている。2は「つかむ」ことが、「わかる」ことという例え。3と4は、「明るい」のは「わかる」こと、「暗い」のは「わからない」ことという例え。

問題1対策( 29 )正解 1
1だけが唇歯音無声唇歯摩擦音 で、他は両唇音。2は無声両唇破裂音、3は有声両唇破裂音、4は有声両唇摩擦音、5は有声両唇鼻音。

問題1対策( 30 )正解 3
3の「行く」は、テ形・タ形で「行って/行った」のように促音便となる。他は、イ音便「置いて/た」「履いて/た」「磨いて/た」「炊いて/た」 。

問題1対策( 31 )正解 2
「教わる」だけが「友人{に/から}教わる」のように、カラ格との交替が可能である。これを、[AがBに Cを V]という文型で考えると、「教わる」は、行為の方向性がA B、つまり、[Aが<着点> Bに<起点>教わる]となり、Bが起点扱いされるため、カラ格でも示される。他は、[Aが<起点> Bに<着点>伝える/話す/送る/渡す]であるため、Bが起点扱いされず、したがって、カラ格で示すことができない。

問題1対策( 32 )正解 5
「気づく」だけが複合語(({気}+{つく であり、他は、派生語。つまり、{ぶる}{っぽい }{がる}{めく}は、いわゆる派生接辞 拘束形態素 であり、単独では語になれない。

問題1対策( 33 )正解 4
4だけが「外の関係」被修飾名詞が修飾節に含まれないもの で、他は「内の関係」 被修飾名詞が修飾節の一部であるもの)。

問題1対策( 34 )正解 5
1~4は孤立語で、5のモンゴル語だけが膠着語。なお、他の主な膠着語は、日本語、朝鮮語韓国語 、ハンガリー語など

問題1対策( 35 )正解 4
4だけがメタファー暗喩 、他はシネクドキー 提喩 。

問題1対策( 36 )正解 5
5だけが摩擦音(有声硬口蓋歯茎)で、他はすべて鼻音(1は有声歯茎、2は有声両唇、3は有声軟口蓋、4は有声口蓋垂)。

問題1対策( 37 )正解 1
「ミャンマー」のみが4拍2音節で、他は4拍3音節。「ミャンマー」は、4拍(ミャ・ン・マ・ー)で2音節(<ミャン><マー>)。「フィリピン」は、4拍(フィ・リ・ピ・ン)で3音節(<フィ><リ><ピン>)。「クエート」は、4拍(ク・エ・ー・ト)で3音節(<ク><エー><ト>)。「モンゴル」は、4拍(モ・ン・ゴ・ル)で3音節(<モン><ゴ><ル>)。「中国」は、4拍(ちゅ・う・ご・く)で 3音節(<ちゅう><ご><く>)。

問題1対策( 38 )正解 2
「一昨日」「今日」「明日」「明後日」はいずれも、「いま」である「今日」を基準として、「一昨日」はその2日前、「昨日」は1日前、「明日」は1日後、「明後日」は2日後を表している。例えば、今日が5日だとすると、「一昨日」は3日、「昨日」は4日、「今日」は5日、「明日」は6日、「明後日」は7日を指す。しかし、「前日」は、「昨日」と同義ではない。すなわち、「前日」は「いま」である「今日」を基準としていないのである。したがって、「5月5日の前日」「試合 の前日」のような表現が可能である。なお、これは「翌日」も同様である。

問題1対策(39 )正解 2
「うれしい」「うらやましい」「さびしい」「くるしい」は、いわゆる「感覚・感情形容詞」であり、基本的には1人称主語しか許さない(人称制限がある)。つまり、1人称以外が主語になる「あの人はうれしい」は許容度が低く、「そうだ」「みたいだ」などの話し手の判断を表す要素(モダリティー)を必要とする。しかし、2の「うつくしい」は「属性形容詞」の意味合いが強いので、「あの人はとてもうつくしい」という表現が可能である。

問題1対策( 40 )正解 3
「ら抜き言葉」は、一段動詞と「来る」が「可能」の意味を表す場合に、「Vられる」の「ら」が抜けたものを指す(「来(ら)れる」「見(ら)れる」「着(ら)れる」「起き(ら)れる」)。「しゃべれる」は、五段動詞「しゃべる」の可能動詞に該当するので、「ら抜き」ではない。

問題1対策( 41 )正解 4
中国語は、無声音と有声音の対立は「ない」。ただし、無気音と有気音の対立はある。中国語は、SVO型言語であり、孤立語の特徴が強いので、名詞を含め、動詞、形容詞にも語形変化がない。また、名詞修飾の標 識「的」がある。そして、類型上の系統は「シナ・チベット語族」である。

問題1対策( 42 )正解 1
メタファー(隠喩)は、類似性の連想に基づき、2つの異なるカテゴリーの一方を一方で示すこと。3の「明るい声」は、物理的な「明るさ」を抽象的な「心情的な明るさ」に用いたもの。一方、1の「冷たい唇」は、比喩ではなく、単なる事実を述べているだけのもの。

問題1対策( 43 )正解 3
3は摩擦音で閉鎖がない。他は、1・2・4が破裂音、5が破擦音で、いずれも閉鎖がある。

問題1対策( 44 )正解 1
いずれも3拍の語で、これだけだと違いがないように思えるが、「が」などの助詞をつけるとアクセントの型の違いがわかる。「男」は、「が」が下がるので、「おとこ」の「こ」がアクセントの核になる尾高型。他は、「が」が下がらないので、平板型。

問題1対策( 45 )正解 3
3の「グレープフルーツからはワインを作る」の「から」は、原材料として解釈される。他は、直接的ではないが、間接的な原因(遠因)に解釈される。

問題1対策( 46 )正解 5
5の「イクラ」はロシア語に由来する。他は、ポルトガル語由来。

問題1対策( 47 )正解 3
3の「入る」は五段動詞。他は一段動詞。

問題1対策( 48 )正解 5
5の「~を見て、驚いた。」のテ形は、「原因-結果」と解釈される。他のテ形は「継起(動作の順序)」の解釈。

問題1対策( 49 )正解 1
1の「頭が固い」は、「モノが固くて変化しないこと」と「思考が固まっていること」との類似性によるメタファー。他はメトニミーで、「口→言葉」、「鼻→鼻水」、「耳→聴力」、「目→視力」のような隣接関係がある。

問題1対策( 50 )正解 5
5の調音点のみ口蓋垂で、他は軟口蓋。ちなみに、1は無声軟口蓋破裂音、2は有声軟口蓋破裂音、3は有声軟口蓋鼻音、4は有声軟口蓋摩擦音、5は有声口蓋垂鼻音。

問題1対策( 51 )正解 3
3の「台湾」のみ中高型。他は頭高型。

問題1対策( 52 )正解 2
2の「上野公園でお花見をする」のデ格は「(動作の行われる)場所」の解釈しかない。他のデ格は、「行為主体」の解釈が可能であり、ガ格としても違和感はない。デ格の名詞句が「行為主体」の解釈を持つのは、「集団性・組織性・場所性」といった意味を持つものに限られる。

問題1対策( 53 )正解 5
5の「駆られる」のみ非可能形。「駆られる」は、もともと「駆る」の受身(「駆る+られる」)であるが、一語化して一段動詞「駆られる」となっている。他の「学べる」「養える」「楽しめる」は可能動詞、「確かめられる」は動詞+助動詞(確かめる+られる)で、可能形。なお、「駆られる」は受身的に解釈され、他は「可能」の解釈が強い。

問題1対策( 54 )正解 5
「あげる」「もらう」に対応する形式があるが、「くれる」は「あげる」と同じ形式を用いる。従って、「あげる」-「くれる」-「もらう」3項対立ではなく、「あげる/くれる」-「もらう」の2項対立である。

問題1対策( 56 )正 解 4
「パンの耳」は、「人間の耳」が中心となるものの端(周辺)にあることの類似性に基づくメタファー的な表現である。他は、隣接性に基づくメトニミー(「ヤカン→ヤカンの中の水」「北島三郎→北島三郎の曲」「口→口から出る言葉」「親がうるさい→親が言う小言がうるさい」)。

問題1対策( 57 )正解 3
3のみ調音点は軟口蓋で、他は歯茎。

問題1対策( 58 )正解 3
すべて中高型だが、3の「接続詞」のみ[低高高高低]で、他は[低高高低低]である。

問題1対策( 59 )正解 2
2の「苦しみに耐える」のみ、ニ格が対象と解釈される。他の二格は原因。ニ格が原因の解釈を持つのは、動詞が心理的な意味合いを持つものに限られる。

問題1対策( 60 )正解 5
5の「笛を吹く」は、対応する自動詞を持たない。他は、「本が返る」「枝が折れる」「鏡が割れる」「絹が裂ける」のように、対応する自動詞を持つ。

問題1対策( 61 )正解 3
3のみ「Vして、“もどって”来た」と解釈され、「変化」は表さない。他は、“上がる/慣れる/向かう/増える”というような「変化」を表す。

問題1対策( 62 )正解 2
「*太郎はかゆい/*太郎はうれしい」のような感覚・感情形容詞や「~と思う」のような動詞の主観的表現は、1人称主語しかとれないという人称制限がある。日本語は韓国語と同様に擬音語・擬態語の数が圧倒的に多く(1)、「おいしいパン」のように被修飾名詞が後ろに来る(3)。また、「~ている」をはじめ、「~終わる/~かける/~やむ」などのようにアスペクトにかかわる表現が豊富に存在する(4)。一方、英語では、「未来will eat /現在 eat /過去 ate 」のように3つのテンスが異なる形式で表されるが、日本語では、「非 過去:食べる/過去:食べた」のように、2 つの形式しか持たない(5)。

問題1対策( 63 )正解 5
「明るい声」は、物理的な光の明るさで抽象的な心情を表すメタファー。他はメトニミー(「瞳→瞳の周りのまぶた」「永田町→そこにいる人々→政治家」「パソコン→データ→プリンタ→印字」「頭→頭髪」)。

問題2対策(1)正解 2
動詞のテ形の促音便は、「走る、入る」「縫う、沿う」など、一般に五段動詞の「~る」「~う」の形に見られる。一方、イ音便は、「書く、置く」など「~く」の形に見られる。ただし、「行く」は例外で、「行きて」ではなく、「行って」のように促音 便になる。したがって、促音便の例文としては不適当。

問題2対策(2)正解 3
時の表示に「に」が用いられるか否かは、その“時”の相対性/絶対性が関わる。「今年、来月、明日」など、ある時を基準として相対的にその時が決まる要素は、「に」を付けないのに対し、「 2006 年、2月、 10 日」など数値や絶対的に決まる要素には「に」を付ける。「火曜日」などの曜日は「に」が付く場合も付かない場合もあるので、例文としては不適当。

問題2対策(3)正解 1
「の」と「こと」の選択に関しては、「見える、聞こえる」などの知覚系 のほか、「手伝う」「待つ」「頼む」などの動詞では「の」が用いられる傾向が強い。形容詞では、「~する{の/こと}は難しい」のように、「易しい/難しい」「上手だ/下手だ」などの評価・判断に関わるものでは、「の/こと」のいずれも可能なので、例文としては不適当。

問題2対策(4)正解 2
「~む/ぬ/ぶ」で終わる動詞のタ形は、「Vんだ」となるが、ここでは、「~ぶ」で終わる動詞の活用に誤りが見られるので、「~む」で終わる「飲む 飲んだ 」は不適当。

問題2対策(5)正解 1
【】内の誤用例と、選択肢2~4の例は 、いずれも前件が後件の付帯状況を表している。したがって、前件「会社に行かない」と後件「家で寝ている」で、それぞれが別の事態を表している1は不適当。

問題2対策(6)正解 3
「~ために」は、前件と後件の行為者が同一であり、かつ前件の動詞に意図性のあるものに用いられるが、前件の動詞の意図性が低い 例えば、可能動詞 場合、{ために/ように}のいずれも使える。ここでは、【 】内の誤用例「日本に留学するように、会社をやめました」を「ために」に訂正することを目的としているため、意図性の低い「受かる」を用いている3は 、「試験に受かる{ように/ために}、一生懸命勉強します」と、どちらも可能なので不適当。

問題2対策(7)正解 4
4は、「重さ」だけでなく、「重み」という表現も可能であるため、「長み」という誤りをした学習者に示す例文としては不適切。「深{さ/み}」「うま{み/さ}」という「~さ/~み」の2つの言い方が可能なものは、それぞれの意味の違いとも併せて注意が必要。

問題2対策(8)正解 2
1・3・4は、可能動詞の対象が「が」で示されている。これらは、他動詞では目的語となり、「を」で示されるため、【 】内の下線 部のような誤用が起こる。2は、単なる自動詞の主語が「が」で示されているもので、例文としては不適切。

問題2対策(9)正解 3
「ほとんど
Vている」という形で、その行為が完了したわけではないが、それに近い状態にあるということが、この表現の中心的な意味といえる。このVに当たる動詞は、いわゆる「瞬間動詞」に代表される動作の完結点を含むものである必要がある。3の「降る」は、いわゆる「継続動詞」であり、「雨が降るということがほぼ毎日続いている」という意味に解釈されるため、不適切である。

問題2対策( 10 )正解 1
「~と別れる」とすべきところを、他動詞のように、「~を」としてしまった学習者に対する例文なので、典型的な「~と」しか使えない例文を示す必要があり、これには動詞の意味が深くかかわっているので、その動詞による例文を示す。2~4の例文は、「けんかする」「結婚する」「戦う」と、すべて相手を必要とするもので、このタイプの動詞は、その相手の表示に「~と」が必須である。これに対し、1は、2~4と同様に、相手の表示に「~と」を用いるが、この意味とは別に「~に相談する」という動作主体の依存する相手を「~に」で示す用法もあ る。したがって、「~と/に相談する」のように「に」も使える 意味は異なるが 1の例文は適当とはいえない。なお、選択肢にはないが、単なる動作を共に行う相手を表す「友達と映画を見に行った」や「恋人とジョギングした」
のような例も、「~と」は必須ではないので不適当。

問題2対策( 11 )正解 2
不必要な「~という」を用いた学習者に対する例文を考える。この例で、「~という」が不必要な理由を考えるには、「内の関係/外の関係」と、「被修飾名詞の意味的な特徴」の2点を見る必要がある。「私が作ったケーキ」というような「内の 関係」では、修飾節 内容説 の「私が作った」と被修飾名詞の「ケーキ」との間に「~という」は入らない。一方、「外の関係」では、「被修飾名詞の意味的な特徴」により、「~という」を伴うものと伴わないものがある。「考え」「話」など、思考や発話にかかわる名詞は「~という」が必要だが、「音」「気配」「 におい」などの視覚・聴覚を中心とした感覚に関係する名詞は、「~という」を伴わない これ以外に、「話」「事実」など「~という」が任意に付くものもあるので、文法書などで整理をしておこう 。このようなことを考えると、ここで提示す べき例文は、必然的に「~という」を伴わない「内の関係」のものであるが、選択肢2は「外の関係」であるので不適当である。つまり、「写真」は「みんなが写っている」に対して「外の関係」にあるが、「感覚に関係する名詞」なので、たまたま「~という」を伴わないだけのものである。ちなみに、「撮った写真」は 「内の関係」なので適当。

問題2対策( 12 )正解 4
初級レベルの学習者の誤りと思われる、自動詞と他動詞の格表示に関わるもの。誤用例の「光る」は自動詞なので、主体の表示にヲ格ではなく、ガ格を用いなければならない。したがっ て、例文は典型的な主体をガ格で表示する自動詞の文を示す必要がある。4は「風が吹く」のような自動詞用法と「笛を吹く」のような他動詞用法で同じ語形「吹く」が用いられるので不適当。

問題2対策( 13 )正解 1
五段動詞の「イ音便」に関する誤用。2~4は、それぞれ「書く」「置く」「開く」のように五段動詞で、「書いた/て」「置いた/て」「開いた/て」というように、タ形とイ形でイ音便がおこるもので、「炊く」をイ音便化せずに「炊きた」とした学習者には適当な例である。しかし、1の「いた」は、一段動詞「いる」のタ形なので不 適当。

問題2対策( 14 )正解 3
行為主体
動作主 のデ格を適切に用いることのできなかった学習者に提示する例を考える。1、2、4は、行為主体 動作主 をデ格で示した適切な例だが、3のデ格は、限度 範囲・単位 にかかわるものなので不適当。
行為主体 動作主 のデ格は、典型的には、 1 意図性がある、 2 集団・組織にかかわる複数性がある主語に付く。また、「警察で捜査をはじめた。」や「デパートで展示会を計画している。」のように、 3 場所性にかかわるものも可能に見えるが、これは、メトニミー的に 2 の集団・組 織と隣接関係にあるので、 2 の下位類 といえる。

問題2対策( 15 )正解 3
いわゆる「経路
通り道 」のヲ格を適切に用いることのできなかった学習者に提示する例を考える。「経路」のヲ格は、ヲ格の前の名詞が場所的なものであるだけでなく、述語となる動詞に移動の意味合いが必要になる。
したがって、移動の意味がなく単に動作を表す「遊ぶ」であれば、「橋で遊ぶ」のように動作の場所がデ格で示される。3の「門を出る。」は、「経路」ではなく「通過点 経過点 」を示すヲ格であるため、不適当といえる。「通過点」は、述語動詞が「過 ぎる」「越える」など、何かを通過する意味合いを持つものの場合に、その通過点を示す ものである。

問題2対策( 16 )正解 4
「汚れています」として、動作の結果としての対象の状態を表すべきところを、「~てあります」としてしまった学習者に提示する例を考える。これは、多くの場合、「瞬間動詞+ている」となる。1~3の「~ている」は、結果の状態を表しているので適当である。一方、4の「遊んでいます」は、単なる動作の継続(進行)なので、不適当である。なお、「~てある」は、(1)動作の結果としての対象の状態(「掲示板に奨学 金のお知らせが貼ってありました。」)と、(2)何らかの目的のための準備(「夕飯はもう作ってあります。」)の、2つの用法があるので注意。

問題2対策( 17 )正解 1
「リーさんのチームと試合をして」とすべきところを、「リーさんのチームに試合をして」としてしまった学習者に提示する例文を考える。「試合をする」という動詞は、意味的に対等である2つの参加者(これをA、Bとする)を必須の格成分とし、[AガBトV]という格パターンをとるものである。同様の動詞には、「戦う」「けんかする」「結婚する」「付き合う」などがある 。したがって、2~4は適当である。1の「相談する」は、上記のような用法があるが、もう一つ、「AガBニV」というAのBに対する積極的な働き掛けを表す用法もある。この場合、ト格ではなく、ニ格をとる。つまり、1は、「~と/に相談する」のように「に」も使える(意味は異なるが)ので不適当。

問題2対策( 18 )正解 4
「行く/来る」を典型例とする移動動詞の到達点(着点)としてニ格(またはヘ格)で表される名詞は、「場所性」を持っていなければならない。したがって、「教室に行く」に対して、「先生に行く」は許容されず、「先 生のところに行く」のように、「~のところ/ほう/そば」などの場所性を持つ要素を補う必要がある(したがって、1と2は適当である)。また、3、4のような複合動詞の場合にも同様のルールが働く(つまり「私に遊びに来る」は非文である)。しかし、4の「聞きに行く」の場合、「聞く」という動詞は、「先輩に聞く」が可能であり、その意味的な特徴により、「~のところ」を伴わない「先輩に聞きに行く」も許されるため、不適当といえる。

問題2対策( 19 )正解 3
3の「~なくて」は、「並立(対比)」的な用法のもの。他は、「原因」を表すもの。「~なくて」は形容詞と動詞に接続するが、「~ないで」は、動詞にしか接続しない。また、意味的には、「並立」の用法は「~なくて」「~ないで」ともに可能だが、「原因」の用法は「~なくて」のみ、「付帯状況」と「手段」は「~ないで」だけ可能である。

問題2対策( 20 )正解 2
2の「から」は格助詞で、順序を表すもの(「明日は29 課から始めます。」など)。他は、接続助詞で、理由を表すもの。

問題2対策( 21 )正解 2
「~ざるをえない」は、ナイ形に接続するが、誤用例ではマス形にしている。例文では、当然、ナイ形を示す必要があるが、2の「引き受ける」は、一段動詞であるため、ナイ形とマス形が同じ形であるため不適当といえる。他は、五段動詞なので、ナイ形とマス形が違う形であるから適当。

問題2対策( 22 )正解 1
一段動詞「見る」を五段動詞の促音便と混同した誤りなので、一段動詞のテ形の用例を示す必要がある。2~4は、「起きる」「降りる」「閉じる」は一段動詞なので適切であるが、1の「話す」は五段動詞なので不適切。

問題2対策( 23 )正解 4
「動作を表す漢語名詞+する」というタイプの動詞は、「N1のN2をする」か「N1をN2する」という2つの形式がある。「日本語を勉強をします」は、このいずれでもなく、「N1をN2をする」であるため、誤用である。1~3は、「N1のN2をする」か「N1をN2する」といういずれの形も取り得るが、「旅行の相談をします」は、「N1のN2をする」は可能であるが、「N1をN2する(旅行を相談する)」が不可能であるので、他の例に対して異質である。

問題2対策( 24 )正解 1
「~か」は、おおむね2つのタイプの疑問表現に用いられる。1つは、いわゆる“YES NO 疑問文であり、もう1つは、「どこ/いつ /だれ/どう」などの疑問詞を要求する、いわゆる wh 疑問文である。これに対し、「~かどうか」は、 YES NO 疑問文でのみ用いられ、 wh 疑問文では使えない。【 】内の「どう~いいかどうか」という形が誤りである。1の「うまくできるか」は、疑問詞を含んでいないので、「~か」だけではなく、「~かどうか(「できるかどうか」)」のいずれの形式も選択可能であるので不適切。

問題2対策( 25 )正解 2
名詞を結ぶ「と」を形容詞に過剰に適用してしまった誤用なので、形容詞の「テ形」で接続されている例文を提示する。形 容詞のテ形の接続は、1・3・4のように、同価値のものどうしの組み合わせに用いられる。これに対し、2の「高い・まずい」は、「高いのに/けれどまずい」といった逆接でも表せるので不適切。

問題2対策( 26 )正解 2
理由を表す「から」は、ナ形容詞、イ形容詞の辞書形に接続するが、この誤用は、ナ形容詞「きれいだ」をイ形容詞のように接続させている。従って、典型的なナ形容詞の例文を提示する必要があるが、2の「いっぱいだ」は名詞性が強い(「*いっぱいな+名詞」)ので不適切。他の「苦手だ/迷惑だ/暇だ」は典型的なナ形容詞( 「{苦手な/迷惑な/暇な}+名詞」)である。

問題2対策( 27 )正解 3
「ば」で接続すべきところを、「と」を用いてしまった誤用なので、「ば」しか使えない例文を示す必要がある。しかし、3は、「春になれば」でも「春になると」でも両方可能なので不適切。