#22. 総合問題
[409]次の文章を読み、各問いに答えよ。
問1)オックスフォードは外国語学習において、学習者が学習ストラテジーを適切に使うことで、言語能力が向上し、自律学習が促進されるとして。その学習ストラテジーのうちで「メタ認知ストラテジー」といわれるものはそれか。
- 日本語のネイティブ・スピーカーをまねて話すようにする。
- 日本語での既習事項と新しく学んだことの関係を考える。
- できるだけたくさん日本語を使えるような機会を見つけようとする。
- 日本語がうまく使えたときは、自分に報酬を与えたり、ほめたりする。
問2)クラッシェンのモニター・モデルの一部をなすもので、情意フィルター仮説はどれか。
- 教師は、学習者の動機と情意フィルターを高める役目がある。
- 動機が低く、自信がなく、不安を抱いている学習者は、情意フィルターが高い。
- 情意フィルターが理解可能なアウトプットの量を左右していると想定する。
- 高い情意フィルターは、理解可能なインプットがうまく作用するのを促進する。
[410]次の文章を読み、各問いに答えよ。
問1)人間の長期記憶に転送するために行うリハーサルの例として、不適当なものを選べ。
- 新出語彙を何度も復唱して覚える。
- 新出語彙を母語で語呂合わせをして覚える。
- 語彙の系列を記憶するとき、語彙を結びつけて、物語を作って覚える。
- 複数の語彙を記憶するとき、それらを結びつけたイメージを作って覚える。
問2)オーズベルは、発見的に学習させるのではなく、また、条件づけや機械的な学習とも異なる理論を提示した。それは、適切な先行オーガナイザーの導入によって、新しい学習が認知構造内に無理なく取り入れられるとする。この学習を何というか。
- バズ学習
- プログラム学習
- 有意味受容学習
- ニュートラル・ネットワーク
[411]次の文章を読み、各問いに答えよ。
問1)二つの事柄について学習する場合、後から学習した事柄に関する記憶が先に学習した別の事柄の記憶に干渉し、先に学習した事柄の記憶を阻害してしまうことを何というか。
- 回避学習
- 逃避学習
- 順向抑制
- 逆行抑制
問2)技能の習熟度や効率が練習を継続しているにもかかわらず、一時的に停滞することを何というか。
- 恒常現象
- プラトー現象
- ブーメラン現象
- プルキニエ現象
[412]次の記述と最も関係の深いキーワードを選べ。
問1)紙と鉛筆で実施される筆紙テストに対して、テストに関係するすべてのプロセスをコンピュータ上で実施するテストである。
- CMI
- CBT
- CALL
- MLAT
問2)単語のスペルのみを見て覚えるという方法は、形態的な分析しか行っていないため浅い処理で終わっており、記憶が保持されにくいが、形態的な処理に加えて音声的な処理や意味的な処理を加えると、より記憶が保持されやすくなる。
- 処理水準モデル
- 二貯蔵庫モデル
- モニター・モデル
- ロゴジェン・モデル
[413]次の文章を読み、後の問いに答えよ。
敬語は聞き手に対して、丁寧さ、丁重な態度を表現する( 1 )と、文の構成要素の位置に現れる人物に対する敬意の表現である話題敬語に分かれる。
話題敬語は、尊敬語と謙譲語に分かれる。
尊敬語は、文の主体となる人物を高める表現で「お+動詞連用形+になる」のほか、「なさる」など、特定の形を持つ動詞からなる。また、動詞の受身形と同じ形も尊敬語として使われる。
謙譲語は、主として「お+動詞連用形+する」の形で、文の主語以外の位置に置かれる人物を高める表現と、特定の形で文の主体のへりくだりを表すものの二つに分かれる。
問1) 文章中の( 1 )に入る最も適当なものを選べ。
- 素材敬語
- 対者敬語
- 絶対敬語
- 相対敬語
問2) 次の文の下線部が他と異なるものを選べ。
- 先月から東京におります。
- 先生から辞書をいただいた。
- 先方のご両親にお目にかかる。
- そのことについて伺いたいのですが。
問3) 次の語の連用形が他と異なるものを選べ。
- まいる
- くださる
- おっしゃる
- いらっしゃる
[414]次のそれぞれについて、【 】内の観点から見て、他と最も性質の異なるものを選べ。
問1) 【比喩】
- 彼は鬼だ。
- 今月も赤字だ。
- 夏目漱石を読む。
- パトカーに捕まる。
問2) 【言語の系統】
- オランダ語
- ノルウェー語
- フィンランド語
- デンマーク語
[415]次のそれぞれについて、【 】内の観点から見て、他と最も性質の異なるものを選べ。
問1) 【「~てくる」の意味】
- 歩いてくる
- 連れてくる
- 飛んでくる
- 生まれてくる
- 押し寄せてくる
問2) 【略語】
- コネ
- コンパ
- ワニス
- マンネリ
- リュック
[416]次のそれぞれについて、【 】内に示した観点から見て、他と最も性質の異なるものを選べ。
問1) 【複合語の成り立ち】
1. 腹巻き 2. 幅跳び 3. 罪作り 4. 湯沸し 5. 炭焼き
問2) 【複合動詞「~あげる」の意味】
1. 縫いあげる 2. 作りあげる 3. 持ちあげる 4. 育てあげる 5. 書きあげる
問3) 【連体修飾節の種類】
1. 子どもが遊んでいる写真
2. 田中さんが講演をした会場
3. 誰かが近づいてくる気配
4. 秘書が賄賂をもらった事実
5. 外国人に日本語を教える仕事
[417]次の文を読み、各問いに答えよ。
音読の効果を調べようと、留学生30名に、1ヶ月、毎日日本語のテキストを音読してもらい、音読を始める前と後にテストを受けてもらうことにした。100点満点のテストで平均点が6点上がった場合、この差は効果があった証拠になるだろうか。別のグループでも同じように効果があるのだろうか。何人をテストし、何回テストをしたら、本当に効果があったと言ってよいのだろうか。
このような疑問を解決するために行われるのが「検定(統計的検定)」と呼ばれる手法である。検定の結果、平均点の差や関係の有無を認めてよい場合を、差や関係が(①)といい、(②)を棄却できる。
問1)文章中の(①)に入る適当なものを選べ。
1. 有効である 2. 有意である 3. 相関である 4. 妥当である
問2)文章中の(②)に入る適当なものを選べ。
1. 入力仮説 2. 出力仮説 3. 対立仮説 4. 帰無仮説
問3)検定の結果が「p<0.05」(p=偶然率)になった場合の意味として最も適当なものを選べ。
- この結果の5%は、信頼してよい。
- この結果の95%以上は、偶然ではない。
- この結果の0.5%以上は、偶然ではない。
- この結果の0.05%未満は、間違っている可能性がある。
問4)文章中の下線部について、音読の前後の平均点を比較するのに最も適当な統計処理は何か。
- t検定 2. 因子分析 3. 重回帰分析 4. X2(カイ2乗)検定
[418]次の文章を読み、問いに答えよ。
留学生にカウンセリングを行う場合、いくつかの留意点がある。
まず、第一に、留学生の自文化と日本の大学文化との間に葛藤や対立が起こった場合に、一方の側から見て対応するという誤りに陥ることである。これでは人間対人間として共感的に理解することから遠ざかってしまう。
第二に、留学生は異文化に接した後、固有のプロセスがあるという点を忘れないことである。通常、新しい文化に接した人間は(①)の混乱が起こりうる。そういった場合の留学生固有の発達過程ないし、発達段階の法則性を把握すれば、より効果的な発達援助が行われると考える。
第三に、留学生の出身文化が個人の自我と分かちがたく結びついているということへの尊重と配慮が必要なことである。
問1) 文章中の下線部に影響を与える考え方として、最も適当なものを選べ。
- 個人主義
- 集団主義
- 多文化主義
- 自文化中心主義
問2) 文章中の(①)に入る最も適当なものを選べ。
- ラポール
- カルチャー
- パーソナリティ
- アイデンティティ
問3) 留学生が抱える問題によっては、グループや友人を活用する可能性がある。それについて最も不適当なものを選べ。
- 同じ文化圏出身者の学生によるピアカウンセリングを行う。
- 同じ国の友人たちのグループを活用して、グループワークを行う。
- 問題を抱える学生と同じ境遇の学生が問題の解決を行う。
- 共通した問題を抱える学生同士でのグループカウンセリングを行う。
[419]次のそれぞれの記述と最も関係の深いものを選べ。
問1)アメリカで作られた汎言語的な口頭能力測定試験で、教師の主観や「勘」に頼らざるを得なかった口頭能力測定を「プロフィシエンシー」の考え方に、基づいて客観的に測定する方法である。
- OPI
- JOCT
- 集団基準準拠テスト
- 到達基準準拠テスト
問2)山口喜一郎は、台湾を初めとして、朝鮮、旧満州などで直接法的な教授法を取り入れ、戦時下の日本語教育の先駆的な役割を果たした。
- グアン・メソッド
- ベルリッツ・メソッド
- パーマーのオーラル・メソッド
- フリーズのミシガン・メソッド
[420]次の文章を読み、問いに答えよ。
日本語は、本来、文字を持たなかった。A中国から漢字・漢文が伝えられたが、当初はこれらを外国語として中国音のまま理解し、使用したようである。その後、日本語を表記するのにふさわしいよう工夫をこらすことになる。
そもそも、漢字・漢文で日本語を表現しようとすると、困難を感じる部分が多々出てきたことであろう。古代の人々は、それを漢字の音を借りて解決しようとした。これが万葉仮名である。漢字の音を借りて、日本語の音を表す。B音仮名がまず現れ、漢字に訓が固定してくると、その訓を用いて日本語の音を写す訓仮名がこれに加わることになる。やがて、この万葉仮名から片仮名や平仮名が作られていくことになった。
問1) 文章中の下線部Aについて最も不適当なものを選べ。
- 日本に伝来した漢字音は、古いものから、呉音→漢音→唐音の順である。
- 『古事記』は漢文体、『日本書紀』は変体漢文体で書かれているとされる。
- 「榊」「働」など漢字と同じような構成で、日本で新たに作られた文字を国字という。
- 漢文訓読の折り、漢字の四隅につけられた小字から「テニオハ」という語が生じた。
問2) 文章中の下線部Bについて最も適当なものを選べ。
- 平仮名の成立は片仮名より古く、奈良時代末期の8世紀後半には成立していた。
- 私的場面で使用されていた平仮名は、『古今集』序文を契機に、広く使われだした。
- 平仮名を主体にして書かれた作品に『竹取物語』『御堂関白記』などがある。
- 平仮名は、1886年の「漢字御廃止之儀」において1字1字体に定められた。
[421]次の各問に答えよ。
問1)セリグマンの「学習性無力感」を説明したものとして、適当なものを選べ。
- 最悪の事態は変わらないと認知すると、行動する意欲を失ってしまうこと。
- ミスを繰り返しながら行動している間に、偶然正しい行動を学習すること。
- 直接経験したり、強化を受けたりせず、観察するだけで学習が成立すること。
- 人間は自分の中の矛盾を嫌って、認知を変更し歪めようとする傾向にあること。
問2)認知行動的な手法で行う対人関係での弱気を克服する訓練で、相手の立場や状況を考えつつ自己表現することを学ぶ。
- アコモデーション理論
- アサーション・トレーニング
- カルチャー・アシミレーター
- ソーシャル・スキル・トレーニング
問3)学習者の母語に関わらず、どの学習者にも共通に見られる間違いを、誤用分析の立場から見た場合、それを表す語として適当なものを選べ。
- 正の転移
- 負の転移
- 言語間エラー
- 言語内エラー
[422]次の各問に答えよ。
問1)セリグマンの「学習性無力感」を説明したものとして、適当なものを選べ。
- 最悪の事態は変わらないと認知すると、行動する意欲を失ってしまうこと。
- ミスを繰り返しながら行動している間に、偶然正しい行動を学習すること。
- 直接経験したり、強化を受けたりせず、観察するだけで学習が成立すること。
- 人間は自分の中の矛盾を嫌って、認知を変更し歪めようとする傾向にあること。
問2)認知行動的な手法で行う対人関係での弱気を克服する訓練で、相手の立場や状況を考えつつ自己表現することを学ぶ。
- アコモデーション理論
- アサーション・トレーニング
- カルチャー・アシミレーター
- ソーシャル・スキル・トレーニング
問3)学習者の母語に関わらず、どの学習者にも共通に見られる間違いを、誤用分析の立場から見た場合、それを表す語として適当なものを選べ。
- 正の転移
- 負の転移
- 言語間エラー
- 言語内エラー
[423]次の文章を読んで、問に答えよ。
最近の敬語の遣い方に注意して観察してみると
a.だいぶ涼しくなってまいりましたね。
b.町の様子は、昔と随分変わっておりました。
のような言い方が多いのに気がつく。
これらの文の主語は、天候とか人間以外の事柄であるが、話し手がていねいさを示そうとする対象は聞き手である。この点( ① )と同じ系列のものと言うことができる。ただ、ていねいさや敬意の向けられる対象によるものではない。なぜ、このように言うのかという話し手の意識を観察すると( ② )に近いものであるとも考えられる。
このように最近の敬語表現は、( ② )化の傾向を持っているものが多くなっているようだ。
問1( ① )に入る適当なものを選べ。
1 尊敬語 2 謙譲語 3 ていねい語 4 美化語
問2( ② )に入る適当なものを選べ。
1 尊敬語 2 謙譲語 3 ていねい語 4 美化語
[424]次の文章を読み、後の問に答えよ。
格助詞には「が、の、に、を、へ、で、より、と、から、まで」等があると言われているが、「が」は動作主・状態主を表したり、「~が欲しい」などのように対象を表したりする。
また、「の」は体言の二者関係という特殊な機能を表し、他とは別個に扱うべき助詞であろう。「の」だけは他の格助詞と異なり、( ① )をつかさどる機能を持つのである。つまり、「AのB」の形で、Bに対するさまざまな関係を示すのであるが、Bだけでは漠然とした概念を、Aによって意味限定するのである。
問1 「水が欲しい」「お金が要る」などの「~が」を指す用語として「対象語」という術語を提唱した学者は誰か。
1 時枝誠記 2 三上章 3 金田一春彦 4 橋本進吉
問2 文中の( ① )に入る適当なものを選べ。
1 題目 2 居体言 3 連体修飾 4 所有格
問3 次の「~の~」の意味が、他と最も性質の異なるものはどれか。
1 賛成の方
2 横浜の友人
3 花見見物の客
4 上位入賞の選手
[425]次の文章を読み、後の問に答えよ。
語には、一つの要素だけからなるものと、複数の要素からなるものがある。複数の要素からなるものについては、一つの語の中で、どのような要素がどのような関係で結合しているかということが問題になる。
文中での働きの違いに応じて形を変える語、すなわち語形変化をする語を活用語という。例えば「食べる」という語は、「食べろ」「食べよう」「食べれば」のような種々の形で用いられる。
また、ある語に接辞などが付加してできる語を( ① )という。例えば「寒(い)」に「さ」という要素が付くと、「寒さ」という語ができる。
問1 文中の( ① )に入る適当なものを選べ。
1 膠着語 2 複合語 3 状況語 4 派生語\
問2 次の文の「~ていく」の意味が、他と最も性質の異なるものはどれか。
1 秋が深まっていく。
2 お弁当を買っていく。
3 病気が重くなっていく。
4 だんだんゴミが増えていく。
[426]次の(1)~(3)について、【 】内に示したような間違いを犯した学習者に対して、文法的な説明をする際、用いる例文として不適当なものを選べ。
例 【選手が道路を走りています。】
- 門の前に人が立っています。
- ハサミで紙を切っています。
- 女の人が庭で写真を撮っています。
- 公園で親が子どもを叱っています。
(1) 【傷はたいしたことがないはずだ。】
- この冷たさは氷のようだ。
- 来週中には工事が終わるようだ。
- だいぶレポートがたまっているようだ。
- このパソコンはどこにも問題がないようだ。
(2) 【飛行機が空で飛んでいます。】
- 明日は山道を歩きます。
- フェリーが港を離れます。
- 子どもが廊下を走っています。
- 山小屋まではあの峠を越えます。
(3) 【あの本を買えば、貸してください。】
- 雨が降ったら、延期します。
- 来月になったら、片づけましょう。
- 誰か来たら、すぐ教えてください。
- 8時までに仕事が終わったら、食事に行きましょう。
[427]次のそれぞれの問について、【 】内に示した観点から見て、他と最も性質の異なるものを一つ選べ。
問1 【複合語の変音現象】
1 渋柿 2 雨戸 3 胸元 4 上着 5 酒屋
問2 【受け身文の種類】
1 太郎は皆から愛された。
2 太郎は先生に叱られた。
3 太郎は級友に先に問題を解かれた。
4 太郎は級友に殴られた。
5 太郎は近所の犬に追いかけられた。
問3 【系統】
1 ロシア語
2 ギリシャ語
3 ルーマニア語
4 ポルトガル語
5 ハンガリー語
[428]次の文章は、「ハ行音の歴史的変遷」についての記述である。読んで、後の各問に答えよ。
古代日本語のハ行音は、/p/で発音されており、濁音の/b/と整然とした対立を持っていた。ところが、奈良時代に入るころまでに/Φ/へ、(①)における変化を起こした。江戸時代前期には、現在のように/h/で発音されるようになったが、これは(②)における変化である。こうしたハ行音の歴史的な変化は(③)の一種である。
この「ハ行音の歴史的変遷」について「p音考」という論文を記したのは(④)である。
問1 文章中の(①)と(②)の組み合わせとして適当なものを選べ。
1.①調音点 ②調音法
2.①調音法 ②調音点
3.①無声音 ②無気音
4.①有気音 ②無気音
問2 (③)に入る適当なものを選べ。
1. 音韻交替
2. ハ行転呼
3. 上代特殊仮名遣い
4. 唇音退化
問3 (④)に入る適当なものを選べ。
1.上田万年
2.山田孝雄
3.橋元進吉
4.松下大三郎
[429]次の文章を読んで、後の各問に答えよ。
語彙の面から日本語を見ると、地形、水勢を表すものが豊富である。日本の自然の中で特色をなすものの一つが「水」であるからであろう。日本語では「湯水のごとく使う」という慣用句がある通り、惜しげもなく水を使う習慣があるが、これがアラブ語では(①)という意味になる。また、日本語の「湯」に対して、中国語で「湯(タン)」といえば(②)のことで、日本語の「湯」を表すには「開水(カイショイ)」といわなければならない。
問1)①に入る最も適当なものを選べ。
- どしどし使う
- じゃぶじゃぶ使う
- けちけち使う
- がんがん使う
問2)②に入る最も適当なものを選べ。
- 麺
- 舌
- 食酢
- スープ
問3)ソシュールは、言語記号の特徴を恣意的だと説明したが、このことと最も関係の深いものを選べ。
- 共時態と通時態
- ラングとパロール
- シニフィアンとシニフェ
- シンタグム関係とパラダイム関係
[430]次の文章は、中上級の語彙・表現指導について述べたものである。(1)~(5)に入る適当なものを、それぞれ選べ。
◇ 中・上級の教育は、学習者それぞれの(1)に合わせるのが有効である。特に語彙・表現の面では、強くそれが望まれる。
「語彙教育」の特殊性は、日本語を母語として話す者と外国人学習者の差が、音声面や文法面に比べて小さいということである。日本語を母語とする者でも、語彙は生活が変わるにつれて絶えず新しいものを取り入れていく。世代による違いも音声や語法による違いよりも大きい。日本人でも日本語の語彙はかなり「意識的に学習」しているのである。
◇ 指導の際には、必ず(2)を添えること。
語の意義を説明する場合、日本語に置き換えるにしても、英語その他の外国語を当てるにしても、多少のズレが伴う。(3)の類はその狂いが比較的少ないが、(3)の性格によっても異なる。
◇ 中・上級の語彙・表現学習の難しさ
日本語学習の初級の段階では「会話」が優先されて授業が組み立てられることが多いのに対して、中・上級では「(4)」を中心として組まれることが多い。その結果、「話し言葉」、「書き言葉」の両方が学習領域として混ざることになる。学習者は、この二つを覚え分けて、適切な場面で遣えるようにならなければならない。
語種別に見ても「漢語」「和語」「外来語」「混種語」の4種が、制限なく登場する。漢語の習得は漢字学習に負うところが多く、非漢字圏の学習者が苦労する所以である。また「(5)」は、その使い方が難しいので、特に注意を要する。
(1): 1. 必要性 2. 汎用性 3. 個性 4. 希望
(2): 1. 翻訳 2. 文脈 3. 談話 4. 語彙表
(3): 1. 慣用句 2. 副詞 3. 動詞 4. 名詞
(4): 1. 読解 2. 作文 3. 聴解 4. 会話
(5): 1. 漢語 2. 和語 3. 外来語 4. 混種語
[431]次のそれぞれの記述と最も関係の深いキーワードをそれぞれ選べ。
問1)バンデュラが社会学習理論を提唱するうえで中心に置いた学習で、自ら直接に経験したり、外部からの強化を受けたりしなくても、その行動型を習得する学習をいう。言語的あるいは映像的に表現された行動も対象となり、広範に学習される。
- 潜在学習
- バズ学習
- 発見学習
- 観察学習
問2)人間関係や情緒的問題を抱える留学生については、同じ境遇の学生同士でのグループワークが効果的であるが、特に留学生と同じ母語を使用する、もしくは同じ文化圏出身の学生による相談が効果的である。
- 認知カウンセリング
- ピア・カウンセリング
- カルチャー・アシミレーター
- 社会的スキル・トレーニング
問3)第二言語を習得する際、移民などのように第一言語の文化や価値が損なわれるような形で第二言語を身につけると、心理面などに悪影響が出ることがある。
- 認知・学習言語能力
- 基本的対人伝達能力
- 加算的バイリンガリズム
- 減算的バイリンガリズム
問4)人間は言語使用場面において、相手との適切な人間関係を維持するために、言語の丁寧さの度合いを無意識のうちに変化させるという操作を行っている。
- 情意ストラテジー
- 社会的ストラテジー
- ポライトネス・ストラテジー
- コミュニケーション・ストラテジー
[432]次の説明は、中級表現「~ものだ」についての記述である。読んで、問に答えよ。
◆「~ものだ」という表現は、中級の指導表現として多数の教科書に採用されている。そして、そこでは下記のようないろいろな用法を指導しなければならない。
~ものだ 接続の形
[普通体] : ものだ
ただし、ナ形容詞[な] : ものだ
(1)はない
用法:
【1】 真理、一般的にいわれていること、本来の性質について、ある種の感慨を込めて述べるのに用いる。一般的な性質として述べて、訓戒とすることもある。(2)
【2】 あるできごと、行為について感心したり、あきれたりする気持ちを表す。(3)
【3】 「たい」「ほしい」などの欲求を表す表現とともに使って、その気持ちを強調するのに用いる。
例・その話はぜひうかがいたいものです。
【4】 過去において、習慣的に行われていたことを感慨を込めて回想するのに用いる。接続の形は(4)となる。
問1) (1)に入る適当な品詞を選べ。
- 動詞
- イ形容詞
- 名詞
- 助動詞
問2) (2)に入る適当な例文を選べ。
- 学生のころは貧乏旅行をしたものだ。
- 年上の人には敬語を使うものです。
- 学生の日本語が上手になっていくのはうれしいものだ。
- 昔のことを思うと、いい世の中になったものだと思う。
問3) (3)に入る適当な例文を選べ。
- ここが好きなものだから、よく来るんです。
- 卒業したものの、仕事には就いていない。
- こんな小さい記事がよく見つけられたものだ。
- 世間とは冷たいものだ。一時は騒いでもすぐに忘れる。
問4) (4)に入る適当なものを選べ。
- イ形容詞-かった[ものだ]
- 動詞-る[ものだ]
- ナ形容詞-だった[ものだ]
- 動詞-た[ものだ]
433 「寺村先生の本で勉強しました」の「で」と同じ使い方の文を選べ。
1.東欧はイデオロギーで揺れています。
2.マークシートはHBの鉛筆ではっきりと塗ってください。
3.今週は、毎日学校で補講があります。
4.彼女は美人で頭もいい。
(2) 「その件は私にやらさせてください」という誤文の指摘として正しいものを選べ。
1. 「やる」を2グループ動詞として誤解しているために起こった間違いである。
2. 使役を作る接辞「-aせる」を「-aす」として扱ったために起こった間違いである。
3. 「使役形+てください」という複合文型が許可を求める表現であることを理解していないことから起こった間違いである。
4. 使役を作る接辞が1グループ動詞と2グループ動詞では異なることに気がついていないことから起こった間違いである。
(3) (2) の例文のような誤り方を何というか。
1.過剰般化 2.過剰縮小 3.転移 4.干渉
[434]次の文章を読んで、後の各問に答えよ。
会話において意志伝達を円滑に行うためには、言葉そのものの意味ばかりではなく、言葉の裏に隠された話し手の意図を理解しなければならない。発話者の意図した言外の意味(特に場面、状況が加わった発話から判断される意味)を会話の含意と呼ぶ。
聞き手は、なぜ話し手の含意を意図どおりに受け取れるのだろうか。また、話し手は、なぜはっきり言わずに、文に含意を持たせるのであろうか。
( ① )は、会話の含意が解釈される(会話がスムーズに運ぶ)仕組みを説明するために、協調の原理という一般原理を導入した。協調の原理は次の4つの公理から成り立っている。
(1) 量の公理(Quantity)・・・( )・( )
(2) 質の公理(Quality)・・・( )・( )
(3) 関連性の公理(Relation)・・・( )
(4) 様態の公理(Manner)・・・( )・( )・( )・( )
の4公理・9項目である。
問1.( ① )に入る人名を選べ。
a.ブラウン b.レビンソン c.グライス d.リーチ
問2.下にあげた9項目は、上記「四つの公理」の(1) ~(4) のどれかに入る。それぞれがどの公理に当たるか、適切に分類しなさい。
a.話題に関連することだけを言い、関係のないことは言わないこと
b.簡潔に言うこと
c.会話のやりとりにおいて、当面の目的となっていることに必要とされる十分な情報を提供するよう心がけること
d.偽りと信じていることを言わないこと
e.順序よく述べること
f.不明瞭な表現を避けること
g.曖昧さを避けること
h.十分な証拠のないことを言わないこと
i.必要以上に多くの情報を提供しないこと
435 クラスの外国人学習者から「『~だけ』と『~しか』の使い分け方がわかりません。」という質問を受けた。この質問に対する教師の説明として最も適切なものを選べ。
- 「~だけ」も「~しか」も両方とも一つであることを表しますが、同じことを伝える場合に、「だけ」の場合は「私だけが学校を休んだ」のように後ろの文が肯定形、「しか」の場合は、「私しか学校を休まなかった」のように後ろの文が否定形で使われるのです。
- 「~だけ」も「~しか」も両方とも一つであることを表しますが、「冷蔵庫の中には野菜だけがある」のように「だけ」を使った場合は事実を言う文になりますが、「冷蔵庫の中には他にもたくさんあると思ったのに、野菜しかない」のように「しか~ない」の形で不満の気持を相手に伝えます。
- 「~だけ」も「~しか」も両方とも一つであることを表すという点では同じですが、「だけ」には「信用できるのは彼だけだ」のように「~だけだ」で言い切る用法があるのに対し、これは間違った文ですが「信用できるのは彼しかだ」のように「~しかだ」で言い切る用法がないという点が違います。
- 「~だけ」も「~しか」も両方とも名詞につけると一つであることを表しますが、「彼の話は聞くだけ無駄だ」のように動詞につけると「だけ」は不満の気持を相手に伝え、「しか」は「彼の話は聞くしかない」のように「しか~ない」の形で諦めの気持を相手に伝えます。
(2) 次に挙げる文は、言語教育におけるシラバス(syllabus)についての説明である。それぞれの説明として適切なものを選べ。
- 構造シラバス (structural syllabus)
- 機能シラバス(functional syllabus)
- 場面シラバス(situational syllabus)
- 話題シラバス(topic syllabus)
a)「日本の新聞を読む」や「日本語で論文を書く」などを到達目標として、そこに至るために必要な学習項目を指導するシラバス。学習者のニーズとして上記のような活動が必要であるときに設定されるシラバスである。
b)「依頼」や「断り」、「誘いかけ」など言語の働きに着目して作成したシラバス。コミュニカティブ・アプローチで指導する際に使われることが多い。
c)「 は です」や「 てください」など構文に着目して作成したシラバス。オーディオリンガル・メソッドで指導する際に使われることが多い。
d)「郵便局」や「レストラン」などという形で整理され、そこで使われる言語を学習項目として作成したシラバス。サバイバルなコミュニケーションを指導する際に使われることが多い
e)「習慣」や「文化」のように中心テーマとして取り上げられたことに対してそこで扱われる言語に着目して作成したシラバス。中級以上のレベルの学習で使われることが多い。
[436](1)クラスの外国人学習者から「『あのレストランは高くておいしいです』という文は変だと日本人から言われたが、どうしてか」という質問を受けた。この質問に対する教師の説明として最も適切なものを選べ。
- おかしいですね。イ形容詞をつなぐ形は「~くて」でつないでありますから、この文は正しい日本語ですよ。変だと思った日本人のほうが変ですから、気にしなくていいですよ。
- イ形容詞を「~くて」でつなぐと、「あの料理は高くて注文できません」のように前の部分が後の部分の理由になるのが日本語の自然な使い方です。ですから、この文は変なんですね。
- 形容詞を二つ並べる用法は「列挙」といわれる用法で、いいものはいいものと、悪いものは悪いものとつなぐのが日本語の自然な使い方です。ですから『あのレストランは安くておいしいです』なら自然な日本語ですね。
- 形容詞には「重い」のように客観的な性質を表す属性形容詞と、「うれしい」のように主観的な感覚を表す感情形容詞があります。「高い」は属性形容詞、「おいしい」は感情形容詞です。二つの違う種類の形容詞をつなげることは日本語ではできません。だから変なんですね。
(2) 【 】内に示した観点から見て、他と性質の最も異なるものを、ひとつ選べ。
①【ダイクシス】
- これ、それ、あれ
- 私、あなた
- する・される
- ~ていく・~てくる
②【「~ハ~ガ~」構文の種類】
- この家は玄関の造作が立派だ。
- タイは一年中気温が高い。
- チャイコフスキーはバレエ交響曲が特に優れている。
- この教科書はJICAが出版した。
[437]次の文章を読んで、後の問に答えよ。
日本語は中国語の漢字漢文を取り入れ、日本語の文字表記としてきた。その際、①正式な漢文体では日本語の文章を書き表すのに不都合が生じた。やがて語順を日本語の順にした文章が登場し、和漢混交文、漢字かな交じり文が成立する。
こうした漢字かな交じり文の成立過程をみると、日本語の構造もとらえやすくなる。中国語では「人」「走」「路」がそれぞれそれぞれ孤立して置かれ、文法関係は( ② )によって表される。言語類型論ではこれを「孤立語」と呼んでいる。これに対し日本語はこうした「人」「走」「路」などの概念本体を担う部分と、テニヲハのような文法関係を受け持つ部分とに大きく分かれている。後者が前者を膠(にかわ)のようにつないでおり、「膠着語」と呼ばれる。また、現在の⑤学校文法では概念本体の部分を「自立語」、テニヲハの部分を「付属語」と呼んでいる。国文学では古くから、前者を「 ③ 」、後者を「 ④ 」と呼びならわしてきた。
問1 文章中の下線部①について述べた。適切でないものを一つ選べ。
- 日本語では主語-目的語-述語の語順であるが、中国語では主語-述語-目的語という語順をとる。
- 日本語では送り仮名、助詞、助動詞などがあり、漢文をそのまま利用できなかった。
- 中国語にはなく、日本独特の要素を持つ漢文は、和習があるという。
- 漢文を日本語読みさせるために「読点」といわれるものが発明された。
問2 文章中の( ② )~( ④ )に入るものをそれぞれ一つずつ選べ。
a)語順 b)辞 c)語の活用 d)前置詞 e)詞 f)観念語
問3 文章中の下線部⑤について述べた。最も適当なものを一つ選べ。
- 連体詞、感動詞、助動詞は自立語に分類される。
- 動詞、形容詞、名詞は自立語に分類される。
- 助詞、副詞は付属語に分類される。
- 接続詞、数詞は付属語に分類される。
[438]次の文章を読み,下の問いに答えよ。
語義は外界の指示物との関係と語集合の中の他の語との対立関係との二面から規定されるという。
前者の面から語彙項目を分類しようとするのが,分類体辞書にみられる方法で,指示物の体系としての枠組みを作りそれに個々の語をあてはめていくというものである。このような分類語彙表として有名なものに1852年に発表されたP.M.ロジェの(ア)がある。金田一春彦は,日本語の語彙を外国のそれと比較すると,(イ)などに関する語は豊富であるが,天体,鉱物に関する語が乏しいことを指摘している。
次に,他の語との対立関係という点から語彙項目を分類する場合であるが,先の方法がまず大きなまとまりから小さなまとまりへという方向であったのに対し,これは小さなまとまりから大きなまとまりへという方向である。具体的には語と語の意義の対立関係にどのような型があるかを考え,それを更に大きな語群に及ぼして語彙の体系に迫るというものである。
問1)文章中の(ア)に入れるのに最も適当なものを,次の 1.~4. の中から一つ選べ。
- コーパス
- カテゴリー
- シソーラス
- レキシコン
問2)文章中の(イ)に入れるのに不適当なものを,次の 1.~4. の中から一つ選べ。
- 魚
- 鳥
- 気象
- 牧畜
問3)次の語の組み合わせで,類義の関係にあるものとして不適当なものを,次の1.~4. の中から一つ選べ。
- 「産業」と「農業」
- 「両親」と「父母」
- 「旅館」と「ホテル」
- 「卓球」と「ピンポン」
問4)次の語の意味的関係が,他と性質の異なるものを,次の1.~4. の中から一つ選べ。
- 「売る」と「買う」
- 「貸す」と「借りる」
- 「出席する」と「欠席する」
- 「輸出する」と「輸入する」
[439]次の文章を読み,下の問いに答えよ。
独立行政法人・国際交流基金関西国際センターが今年の2月に,外国人向けサイト(ア)の日本語」を開設したところ,アクセス数は半年間で約210万件に達したという。
世界中で,日本の(ア)を「日本語で理解できるようになりたい」というファンは多いものの,教科書には出てこない表現も多く,意味が分からないままになってしまっているという相談が同センターに多く寄せられ,それに応えたものである。
(ア)でよく使われている語彙・フレーズなどを収録しており,日本語を選択すると,意味や用法などが英語で説明される仕組みになっている。
日本語を学ぼうとする動機はさまざまである。国際交流基金が2009年度に実施した「海外日本語教育機関調査」でも,各教育機関共通で(イ)などが主な学習動機に挙がっており,日本語教育の現場においては,こういった学習者のニーズを念頭に置き,学習動機を高める教材開発,教室活動などの研究が求められると言ってよいだろう。
問1)文章中の(ア)入れるのに,最も適当なものを次の1.~4. の中から一つ選べ。
- ドラマ・エイガ
- アニメ・マンガ
- アニメソング
- J-POP
問2)文章中の(イ)に入れるのに,不適当なものを,次の1.~4. の中から一つ選べ。
- 「日本の文化に関する知識・情報を得るため」
- 「日本語という言語そのものに興味があるため」
- 「学校教育機関で学ぶように定められているため」
- 「日本語によるコミュニケーションができるようになるため」
問3)文章中の下線部について,学習動機を高めるための教材開発において重要とされてない視点はどれか。次の1.~4. の中から一つ選べ。
- 「おもしろそうだな」という関心を引くもの
- 「やらなければならない」という義務感を伴うもの
- 「やればできそうだな」という自信をつけさせるもの
- 「やって良かった」という満足感を味あわせるもの
[440]次の文章を読み,下の問いに答えよ。
言語使用に関わる対人的な関係は,基本的に上下もしく ( ア ) という次元,およびその延長線上に考えることができる。これらは丁寧な振る舞いをする(あるいはしない)際の言語的な方策の選択に際して重要な要因となる。
上下とは,つまり一方がもう一方に対して上に立つか下に立つかという次元であるが,原理的には ( ア ) と切り離すことができる。たとえば,職場における上司や親は一般に上下の関係にあるが,いつも顔を合わせているとすれば,近い関係にある。
また, ( ア ) は,自分より社会的な地位が低そうに見える人でも,道ですれ違うだけの間であるなら遠い存在であるので,たとえば日本語なら丁寧な方策が選択されるだろう。
どのような要素が上下の関係に関与するかも,文化によって異なると考えるべきだろう。
問1)文章中の ( ア ) に入れるのに最も適当なものを,次の1.~4. の中から一つ選べ。
- 視点
- 親疎
- 恩恵
- 礼儀
問2)次の文の下線部が,他と異なるものを,1.~4. の中から一つ選べ。
- 先月から東京におります。
- 先生から辞典をいただいた。
- 先方のご両親にお目にかかる。
- そのことについて伺いたいのですが。
問3)外国人との意思疎通と敬意表現の注意点について述べたうちで,最も適当なものを,次の1.~4. の中から一つ選べ。
- 相手の気持ちを不快にさせないように婉曲な言い回しを用いる。
- 日本人の言語習慣として文末の判断部分を相手の判断にゆだねる。
- 異なる言語習慣や文化をもつ相手に日本人以上の高い敬意表現を使用する。
- 相手の日本語の習熟度により,意図する内容が十分に理解できるよう配慮する。
[441]【 】内に示した観点から見て,他と性質の異なるものを,1.~5.の中から一つずつ選べ。
【カタカナ語特有の音節】
- チェーン
- フォント
- シェパード
- ファックス
- エルニーニョ
[442]次の【 】内の下線部は学習者による誤用を示す。これと異なる種類の誤用を、それぞれの1.~4. の中から一つずつ選べ。
【電車が来れば,乗ってください。】
- 地震があれば、ここに避難してください。
- 12時になれば、休憩してください。
- 駅に着けば、会社に電話してください。
- 食事が終われば、すぐに出発してください。
[443]次の【 】内の下線部は学習者による誤用を示す。これと異なる種類の誤用を、それぞれの1.~4. の中から一つずつ選べ。
【毎朝,新聞を読むながら、ご飯を食べます。】
- 歩くながらたばこを吸ってはいけません。
- よそ見ながら運転するのは大変危険です。
- 近くでお茶でも飲むながらお話しませんか。
- 雨音を聞くながら、いつの間にか寝てしまいました。
[444]次の【 】内の下線部は学習者による誤用を示す。これと異なる種類の誤用を、それぞれの1~4の中から一つずつ選べ。
【壁で写真を貼った。】
- 部屋で机を置いた。
- 講義は9時半で始まる。
- 財布の中でカードを入れた。
- ゴミ箱でごみを捨てるように。
[445]次の【 】内の下線部は学習者による誤用を示す。これと異なる種類の誤用を,1.~4. の中から一つずつ選べ。
【この写真,拝見しますか。】
- この人のこと,存じあげていますか。
- 窓口でパンフレットを頂いてください。
- その件については,受付でお伺いください。
- 父は今出かけていて,家にいらっしゃいません。
[446]次の【 】内の下線部は学習者による誤用を示す。これと異なる種類の誤用を,1.~4.の中から一つずつ選べ。
【景色がきれいくて感動しました。】
- コーヒーが好きくて,日に5杯は飲みます。
- 値段がとても高いくて,買えませんでした。
- いつも元気くて,明るい人です。
- 勉強が嫌いくて,いつもさぼっていた。
[447]次の【 】内の下線部は学習者による誤用を示す。これと異なる種類の誤用を,1.~4.の中から一つずつ選べ。
【スイッチを入ってください。】
- 間違えたところを直ってください。
- あの信号の次の角を曲げてください。
- みなさん,テキストを閉めてください。
- スプーンとフォークを並んでください。
[448]次に挙げた文の下線部は学習者による誤用を示す。これと異なる種類の誤用を選べ。
[発音する際に]【花屋でアルパイドをしています。】(「アルバイト」の意)
- てんき(「電気」の意)
- ちゅくえ(「机」の意)
- かっごう(「格好」の意)
- とぎとぎ(「時々」の意)
[449]次の文章を読み、各問に答えよ。
人間関係の相互依存と調和を重視する日本の文化では、話し手はなるべく相手の立場を考えて含蓄に富む曖昧な表現に終始することが望ましいと考えられている。
日米両文化のレトリックにおいてメッセージと修辞に見られる違いは、英国の社会言語学者バーンスタインが、中流階級と労働者階級の子どもの言語行動を調べた結果、提示した A精密コードと制限コードへの依存度からも説明できる。
米国のように個人がバラバラに分断され、異質性に富む文化では、メンバー間に基本的な前提が共有されていないために、話し手は( ア )を最大限に使用して明確なメッセージを構築して、自らの主張を相手に受け入れさせる必要がある。言い換えれば、米国型の話し手は、バーンスタインのいう精密コードを目一杯使って説得しなければならない。
これとは対照的に B日本のようにメンバー同士が共通の絆で結ばれ、情報がかなり共有されている文化では、コミュニケーション行動のかなりの部分があらかじめ規定されているために、言語コードに頼る必要は希薄である。
問1)文章中の下線部Aの説明として、不適当なものを選べ。
- 労働者階級の子どもたちは、制限コードを使用する。
- 学校教育の場では、精密コードと制限コードが併用される。
- 精密コードは、スピーチの構成が複雑で、言語が伝達の主な手段である。
- 制限コードは、スピーチの構成が単純で、非言語が伝達の主な手段である。
問2)文章中の( ア )にはいる最も適当なものを選べ。
- パラ言語
- エンブレム
- バーバル言語
- ノンバーバル言語
問3)文章中の下線部Bを表すキーワードとして最も適当なものを選べ。
- 高位言語文化
- 低位言語文化
- 高コンテキスト文化
- 低コンテキスト文化
[450]次の文章を読み、各問に答えよ。
教室運営の指針は、学習者と教師のあいだの契約ともいえる広義のシラバスに示される。日本語教室の運営においては、学習者の意欲と動機を高めながら対話のある授業を実践していくことが必要である。たとえば、クラスにまとまりがない、協力関係がない、孤立している学習者があるなど、グループに問題がある場合には、構成的グループ・エンカウンターを用いて対処することができる。これは、グループの持つ教育力と( ア )を応用した方法論として学習者間の人間関係づくりや教室運営に役立つ。
問1) 文章中の下線部を開発した人は誰か。
- 河合隼雄
- 國分康孝
- 宮城音弥
- 森田正馬
問2) 文章中の( ア )に入る最も適当なものを選べ。
- ネットワーク
- シャドーイング
- フィードバック
- グループダイナミクス
問3) 臨床心理学者ロジャーズのカウンセリング理論として不適当なものを選べ。
- クライエントによっては、指示的カウンセリングをとることがある。
- カウンセラーはクライエントが自由に自己開示できるように努める。
- クライエントとカウンセラーとのあいだにラポールが形成されるように努める。
- 人間が自己実現に向かって行動ができるという「成長モデル」の人間観が反映されている。
[451]次のそれぞれについて【 】内の下線部に示した学習者による誤用と異なる種類の誤用を選べ。
【全員そろえば、練習を始めましょう。】
- 3時になれば、お茶にしましょう。
- 北村さんが来れば、10人になりますね。
- 夏休みに入れば、国に帰ろうと思います。
- 大学の授業が始まれば、1度メールを送ってください。
[452]次の会話は留学生Aと日本人大学生Bとのやりとりの一部である。このやりとりを読み、各問いに答えよ。
A:ちょっと教えてもらいたいことがあるんですけど、いいですか。
B:ええ、いいですよ。
A:今、アルバイトを探しているんですけど、これどう読むんですか。
B:えっと、あぁ、これはイサイメンダンって読むんですよ。
A:aイサイメ・・・
B:イサイメンダン。
A:bどういう意味ですか。
B:これは、詳しいことは、面接のとき直接話しますってことですよ。
A:ああ、なるほど。ありがとう。
問1)文章中の下線部aのようなコミュニケーション上の問題を解決するための発話を何というか。
- リキャスト
- リペア
- シャドーイング
- 簡略化
問2)文章中の下線部bのようなコミュニケーション上の問題を解決するための発話を何というか。 - 明確化要求
- 言い換え
- コード・スイッチング
- 話題転換
問3)上記の会話を言語学習の側面から見た場合、学習者はどのような学習ストラテジーを使っていると考えられるか。
- 記憶ストラテジー
- 認知ストラテジー
- 社会的ストラテジー
- メタ認知ストラテジー
[453]次のそれぞれについて、【 】内の下線部に示した学習者による誤用と異なる種類の誤用を選べ。
【弟は父に似ます】
- 南の窓が開きます。
- ナイフがとがります。
- 日本の50円玉は穴があきます。
- 大学の前で道が右に曲がります。
[454]次のそれぞれについて、【 】内の下線部に示した学習者による誤用と異なる種類の誤用を選べ。
【日曜日、友達を会いました】
- 小さい頃、弟をケンカしました。
- 妹はマレーシア人を結婚しています。
- 教室でマリーさんをぶつかりました。
- この薬は、水をいっしょに飲みます。
[455]次の文章を読み、各問いに答えよ。
時代が変われば、語義も変化する。具体物が抽象的な使われ方をすることがある。また、指示対象も言語によって異なる。日本語の「頭」の原義は、動物の目、鼻、口、耳が存在する身体の一部である。しかし、頭の表面の一部である「髪の毛」も「頭」で表されることがある。これは、原義からの転義であり、比喩の一種の( A )とも言える。「頭を刈る」は散髪をすることであるが、“The King cut her head.”では、( B )となる。ほかにも、空間的概念を表すものが時間を表す概念に変化する場合があり、( C )がその例である。
問1) 文章中の( A )に入る最も適当なものを選べ。
- 直喩(シミリ)
- 隠喩(メタファー)
- 換喩(メトニミー)
- 提喩(シネクドキ)
問2) 文章中の( B )に入る最も適当なものを選べ。
- 王は彼女を馘首した
- 王は彼女を斬首した
- 王は彼女を減給した
- 王は彼女を左遷した
問3) 文章中の( C )に入る最も適当なものを選べ。
- 授業が延びる
- 食が細い
- 腹の底
- 近い親類
[456]次の文章を読み、各問いに答えよ。
EU(ヨーロッパ連合)において、域内の言語につき、CEFR(Common European Framework of References for Languages、ヨーロッパ言語共通参照枠)という枠組みが2001年に発表された。これは域内の諸言語について( 1 )という考え方をもとに処理しようとするものである。また、外国語教育のシラバス、カリキュラム、教科書、試験の作成、および学習者の能力評価時に共通の基準となるものである。
そこで、学習者は自らの外国語能力についてELP(European Language Portfolio、ヨーロッパ言語ポートフォリオ)を所持することを想定している。ELPは、学習者が取得した資格と重要な言語的・異文化的体験を、国を超えて明瞭な形式で記録でき、生涯にわたって使用できる個人記録である。
CEFRにおいては、能力の記述は「何ができるか」で示され、6つのレベルに分けられている。例えば、最も下位のレベルで「書くこと」に関しては「新年の挨拶など短い簡単な葉書を書くことができる。例えば、ホテルの宿帳に名前、国籍や住所といった個人のデータを書き込むことができる」のように明瞭に定められている。
しかし、CEFRに対しては、シュベートフェーガーが2003年に( 2 )という批判を投げかけており、グローバリゼーションに対するのと同様の問題点をはらんでいるという指摘もある。
問1)文章中の( 1 )に入る最も適当なものを選べ。
- 複合言語主義(compound language principle)
- 多言語主義(multilingualism)
- 複言語主義(plurilingualism)
- 複公用語主義(plurals official language principle)
問2)文章中の( 2 )に入る最も適当なものを選べ。
- 言語教育に経済重視主義を持ち込んだ。
- 言語教育に効率重視主義を持ち込んだ。
- 言語教育を「マクドナルド化」するものだ。
- 言語教育に複文化主義をもたらし、人の移動・交流が進みすぎる。
問3)文章中の下線部について、言語ポートフォリオを構成すると考えられていないものはどれか。
- 言語パスポート(language passport)
- 大学の学位(bachelor’s degree)
- 言語学習記録(language biography)
- 資料集(dossier)
[457]次の文章を読み、各問いに答えよ。
1960年代に入ると、アメリカの言語学の主流は生成文法理論に変わった。チョムスキーは言語の習慣形成理論を否定し、人間は言語を模倣や繰り返しによって学ぶのではなく、A各自の持つ言語能力から新たに生成すると主張した。
また、オーディオ・リンガル・メソッドに対して、( 1 )などの批判も出てきた。学習者の誤用を分析した結果からは、学習上の困難度や誤用は必ずしも言語の対照分析によって予測されるとは限らず、母語の干渉以外にも起因する誤用もあることが明らかになった。
1970年代の前半ごろには認知学習理論に基づく教え方が提唱され、これと並行する形でオーディオ・リンガル・メソッドに批判的な種々の教授法が心理学者や生理学者から提唱された。新しい教授法と呼ばれる教授法にはTPR、サイレント・ウェイ、CLL、サジェストペディアなどがある。
ヨーロッパでは、Bコミュニケーション能力の育成を目的とする外国語教育のためのシラバスが提唱された。
問1)文章中の( 1 )に入るのに不適当なものを選べ。
- 文を正しく構成できても、単純な意志伝達ができない学習者がいる。
- 正確な発音が身につかないため、意志疎通が困難であることが多い。
- あまり意味に注意を払わずに機械的練習を繰り返すのは、学習意欲を低下させる。
- 実際のコミュニケーションの場面で習得した文型が使えるようになるとは限らない。
問2)文章集の下線部Aについて、チョムスキーは何と呼んだか。
- 言語獲得装置(LAD)
- 二重貯蔵モデル(DSM)
- 生活言語能力(BICS)
- 学習言語能力(CALP)
問3)文章中の下線部Bについて、このシラバスに挙げられた項目の例として適当なものを選べ。
- 「時間」「位置」「説得」「勧誘」・・・
- 「~は~です」「この~は~です」・・・
- 「空港で」「ホテルで」「レストランで」・・・
- 「私の国」「趣味」「私の希望」・・・
[458]次の文章を読み、後の問いに答えよ。
テスト結果の分析の手法は、目的によって異なる。テストは大きく、総合的な言語能力を測る(A)準拠テストと、具体的な学習目標を持つ(B)準拠テストに分けられる。前者は、テストの得点が(C)することが望ましいが、後者は、多くのクラス内の学習者を対象に、学習目標への到達度を問題にするので、得点が(C)することは、前提にしない。
問1 文章中の(A)と(B)に入る組み合わせとして最も適当なものを選べ。
- A=目標基準 B=標準基準
- A=到達基準 B=集団基準
- A=集団基準 B=到達基準
- A=標準基準 B=目標基準
問2 文章中の(C)に入る最も適当なものを選べ。
- 水平分布
- 正規分布
- 相補分布
- 分散分布
[459]敬語の授業を行なっているときに、学習者が「では、イスにお座りします」という発話を行なった後、自分の席に座った。どうも謙譲表現の理解が十分ではないらしい。この学習者に対する指導のポイントとして適切なものを選べ。 - 謙譲表現は自分より目上の人物に対して使われることが理解できていないので、その点の確認を行なう。
- 謙譲表現には、ただ自分の行為をへりくだるものがあり、その場合は使われる動詞が限られている点を確認する。
- 謙譲表現は、目上の人物に対する自分のへりくだった行為にのみ使われることをよく確認する。
- 謙譲表現は、ただ自分の行為をへりくだって言えばいいというものではなく、行為の受けての反応を予測して使わなければならないことを確認する。
[460]「~たら」を初めて導入して、結合練習を行った。キューとして適切でないものを選べ。
- 明日、雨が降ります。運動会は中止です。
- 10時になります。出かけます。
- 安いです。あの店でパソコンを買います。
- 時間がありません。映画をみません。
[461]次の文章を読み、各問いに答えよ。
行動主義心理学における学習理論では、反応の正誤に対して即時にフィードバックや賞罰を与えることが効果的であるとされてきた。この考えに従えば(A)は、即座に正すべき誤りとされる。
これに対し、(B)の発達理論においては、何が正しい行動かという情報を外から与えてしまうと、むしろ主体的に規則性を抽出して自ら構造化を与えるための動機づけや能力を低下させてしまうと考えられている。従って、(A)による誤りを、外からただちに直すことに対しては否定的である。
問1.文章中の下線部に関係のあるものとして適当なものを選べ。
1.発見学習 2.プログラム学習 3.適性処遇交互作用 4.ピア・フィードバック
問2.文章中のAに入る適当なものを選べ。
1 過剰拡張 2 過剰般化 3 自己強化 4 自動形成
問3.文章中のBに入る適当なものを選べ。
1 ガニエ 2 ピアジェ 3 ブルーナー 4 ヴィゴツキー
問4.認知説による学習の概念を述べたものとして適当なものを選べ。
1.動機づけは、賞と罰による外発的動機づけである。
2.白紙の状態から経験を積むことによって様々な知識を獲得する。
3.動機づけは、学習者の興味や関心を重視した内発的動機づけである。
4.学習環境は、教師による情報伝達を基本とし、反復による訓練を重視する。
[462]次のそれぞれについて、【】内に示した観点から見て、他と性質の最も異なるものを選べ。
問1)【「~と」の用法】
- 太平洋リーグは、鷹チームが虎チームと競い合った。
- このコインは、友人とポーランドへ行ったときの記念だ。
- あの人は3年前に夫と別れたそうだ。
- 総理大臣が隣国の大統領と会談するのは初めてらしい。
- 室長のご意見は、私の意見と多少違うように思います。
問2)【「~わけ」の意味】
- なるほど英語がうまいわけだ。中学時代はアメリカにいたんだったって。
- 1ドルが102円。日本経済がまた復活したわけだ。
- ボーナスが出なかったのか。それで機嫌が悪いわけだ。
- 13年も飼った犬が死んだんですか。気落ちするわけですね。
- テープが切れている。いくら押しても回らないわけだ。
[463]次のそれぞれについて、【】内に示した観点から見て、他と性質の最も異なるものを選べ。
問1)【「持ち」の意味】
- 金持ち
- 子持ち
- かばん持ち
- かんしゃく持ち
- 日持ち
問2)【造語に伴う変音現象】
- 方位磁石
- 三色団子
- わら草履
- 平家琵琶
- ガキ大将
[464]次の文章を読み、設問に答えよ。
日本語文法の述語には、動詞から成っている述語動詞と形容詞でできた形容詞述語と名詞で形成された名詞述語がある。述語に存在する文法カテゴリーには、肯否・テンス・丁寧さ・モダリティ(ムード)がある。
それぞれの文法カテゴリーは、動詞述語では、肯否[走る(肯定)-走らない(否定)]、テンス[走る(非過去)-走った(過去)]、丁寧さ[走る(普通)-走ります(丁寧)]、モダリティ[ 走る(断定)-走るだろう(推量)-走れ(命令)-走ろう(意志・勧誘)]、という形態的な対立でもって実現されている。モダリティには、認識のモダリティと発話・伝達のモダリティがある。
形式の担っている文法的意味を読み取るうえで重要なことは( 1 )の形式「走ら+なかっ+た+でしょう」が[否定+過去+丁寧+推量]を表していることを理解するとともに、元の形式「走る」が[肯定+非過去+普通+断定]を表している形式である、ということを理解することでもある。「走った」にあっても、過去だけを表しているわけではなく、他の文法カテゴリーも担われているのである。
問1 文章中の( 1 )に入る適当なものを選べ。
1 能記 2 所記 3 無標 4 有標
問2 タ形の用法が他と異なるものを選べ。
- さあ、目的地に着いたぞ。
- 危ない。どいた。どいた。
- 冷蔵庫にビールがあったんだ。
- 明日の会議は9時からでしたか。
問3 文法カテゴリーとしてのテンスについて、最も適当なものを選べ。
- 中国語も朝鮮語も持っている。
- 中国語も朝鮮語も持っていない。
- 中国語は持っているが、朝鮮語は持っていない。
- 中国語は持っていないが、朝鮮語は持っている。
[465]次の文章を読み、後の問いに答えよ。
アクセントとは、ある言語の個々の語について社会慣習的に定まっている相対的な高さや強さの配置とされる。日本語や(①)は高さアクセント、英語やロシア語は強さアクセントである。前者には、単語レベルで現れる言語と音節レベルで現れる言語がある。
アクセントの機能は、A「単語のまとまり」とB「意味の違い」を示すことであるが、前者はすべての言語にあるのに対し、後者は言語による。Aの機能しか持たない固定アクセントには、フランス語、ポーランド語、チェコ語など、Bの機能を持つ自由・移動アクセントには英語、ロシア語、日本語などがある。
問1)文中の(①)に入る適当なものを選べ。
1.中国語、朝鮮語 2.中国語、ベトナム語
3.タイ語、ハンガリー語 4.朝鮮語、フィンランド語
問2)文中の下線部について、最も適当なものを選べ。
1.高次言語 2.声調言語 3.モーラ言語 4.超分節言語
問3)文中のAとBの機能について、適当な組み合わせのものを選べ。
- A=弁別機能 B=統語機能
- A=範列機能 B=連辞機能
- A=統語機能 B=弁別機能
- A=連辞機能 B=範列機能
問4)アクセント型(東京方言での)が、他と異なるものを選べ。
1.福島 2.東京 3.広島 4.鹿児島
[466]次のそれぞれの文について、【】内の下線部のような表現をした学習者に対して文法的な説明をする際、用いる例文として不適当なものはどれか。
問1)【本を読むままご飯を食べた。】
- 左右を見ながら横断する。
- 若いながら気がきいている。
- CDを聞きながら仕事をする。
- ノートを取りながら講義を聞く。
問2)【イーさんは日本の歌が歌うできます。】
- 二十歳になったらお酒が飲める。
- 田中さんはインドネシア語が話せる。
- この子は100メートルぐらいは泳げる。
- 3人の中で花子が一番上手にピアノが弾ける。
[467]次の文章を読み、問いに答えよ。
日本人は、自分のことを他人に説明するのが苦手である。ここでの最大の問題は、日本人の「察しの文化」である。「察し」とは、集団の成員が多くの了解事項を共有しているか、その前提に立つところに成立するコミュニケーションの様式である。
了解事項の共有意識に支えられ、「察し」の働きに依存すると、詳しく説明しようとする気が起こらない。何も知らない人を対象にものごとを順序正しく正確に説明することが、うっとうしく、めんどうになるのである。そして、「一を言えば十がわかる」、または「言わなくてもわかる」というような人間関係を重視することになる。気が利く人は重宝がられ、察しの悪い人は疎んじられる。「そんなこと、言わなければわからないのか」という叱責すらある。こうなると、ことばの役割は、最小限に抑えられることになる。
問1)文章中の下線部を表すキーワードとして適当なものを選べ。
- トリビアリズム
- エスノセントリズム
- 低コンテキスト文化
- 高コンテキスト文化
問2)英語で出版された本として不適当なものを選べ。
- 岡倉天心『茶の本』
- 加藤周一『雑種文化』
- 新渡戸稲造『武士道』
- 内村鑑三『代表的日本人』
問3)1960年代に駐日アメリカ大使を務めた人物は誰か。
- ジョセフ・グルー
- ドナルド・キーン
- エドウィン・ライシャワー
- エドワード・サイデンステッカー
[468]次の文章を読み、問いに答えよ。
カウンセリングは、特定のカウンセラーとクライアントが作り出す、二度と同じことがありえない独特のかかわりあいである。カウンセリングの進行や経過に伴い、両者の姿勢や気持ち、関係、相互作用が重要な要素となる。このプロセスを体験し、カウンセラーとクライアントの間で形成される信頼関係を(1)という。これは両者に温かい交流があり、安心感と信頼感のなかで自由に考えや気持ちが表現され、理解されるようなかかわりあいである。それゆえ、面接するにあたり、カウンセラーはクライアントが自由に(2)できるように、クライアントの不安や緊張した心理状態を受け止め、クライアントにとって安全で信頼できる環境を作るように努める。
問1)文章中の(1)に入る適当なものを選べ。
- セラピー
- ラポール
- ボランタリー
- ホスピタリティー
問2)文章中の(2)に入る適当なものを選べ。
- 自己暗示
- 自己実現
- 自己顕示
- 自己開示
問3)アメリカの心理臨床家ロジャーズは、カウンセラーの態度条件としてどのような点を重視したか。不適当なものを選べ。
- 相手を無条件に受け入れようとする肯定的な態度
- 相手の感情や考えに積極的に耳を傾ける傾聴的な態度
- 相手の感情とは別に自分の役割行動をとる防衛的な態度
- 相手の世界を自分の世界として理解しようとする共感的な態度
[469]次の文章を読み、問いに答えよ。
年少者対象の第二言語教育は、一般成人対象の第二言語教育とは異なり、母語をどうするかが重要なポイントとなる。
(A)バイリンガル教育は、母語能力の発達のうえに第二言語のレパートリーを付加することが目標とされ、両言語の育成が目指されるのに対して、(B)バイリンガル教育は、第二言語の育成が第一義的な目標とされ、そのために母語能力を喪失しても許容される。
また、多民族多言語社会で、少数派の言語は地域社会で使用される機会がほとんどない。学校でも主流言語の学習が進められると、発達途上の母語を保持、発達させる機会が奪われてしまうことになる。それに対して、主流言語は、政治・経済・マスコミのどの場面をとっても大きな力を持ち、たとえ学校で学ぶ機会が減少しても、学校の外で使用する機会が十分にあることから、多数派の年少者は母語能力を十全に発達させることができるといわれている。
問1)文章中の(A)、(B)に入る適当な組み合わせを選べ。
- A=全面的B=部分的
- A=同時的B=継時的
- A=加算的B=減算的
- A=付加的B=部分的
問2)文章中の下線部を表す用語として適当なものを選べ。 - イクイティ
- エノンシアシオン
- エスノメソドロジー
- エスノリンギスティック・バイタリティ
[470]次の文章を読み、問いに答えよ。
1984年にブラウンらによって提唱され、貧困層の子どもたちの読解力をつけるために行われた教授法を(1)という。この手法は、短い文章を題材として教師と学習者が会話をしながら「わからない言葉などを明確化する」、「読んだ文章から質問を作る」、「次にどんな文が来るかを予測する」、「文章を要約する」というプロセスを、リーダーを交代しながら繰り返し行うことにより学習効果を高めようとするものである。
これは、他者との相互作用で発達が起こるとした、(2)の理論をベースとした教授法で、学習者は、教師という読解のスキルを持った人を参考にしながら、自立した学習者へと成長していく。教師と学習者、学習者同士で相互に作用しあう。こういった活動を通じて、自立した学習者を育てるというのが(1)のやり方であり、目指す方向である。
問1)文章中の(1)に入る適当なものを選べ。
- VT法
- 相互教授法
- プロセスアプローチ
- タペストリーアプローチ
問2)文章中の下線部に関係あるものとして適当なものを選べ。
- 認知的徒弟制
- 正統的周辺参加
- 発達相互依存仮説
- 発達の最近接領域
問3)文章中の(2)に入る適当なものを選べ。
- レイブ
- イタール
- ピアジェ
- ヴィゴツキー
[471]次のそれぞれの問いにこたえよ。
問1)
オックスフォードの言語学習ストラテジーのうち、間接ストラテジーの特徴として不適当なものを選べ。
- 練習の機会を得るために目標言語話者と友達になる。
- 自分の学習をモニターし、必要があれば調整を加える。
- 言語の学習過程で起きる出来事や感情について日記をつける。
- 足りない知識を補うために言語的あるいは非言語的な手掛かりを使う。
問2)次のような潜在記憶に関する実験で、先行刺激によって一般に認知の速さや正確さが促進されることが判明している。この現象を何と呼ぶか。
先行刺激として「しんりがく」という単語を提示された被験者が、その後、「し○り○く」という単語完成テストを行うと、最初に「しんりがく」という単語を見ていない被験者に比べ、単語完成テストの正答率がよくなる。
- ハロー効果
- スリーパー効果
- ピグマリオン効果
- プライミング効果
[472]次の文章を読み、それぞれの問いにこたえよ。
第二次世界大戦後、ヨーロッパは平和共存を求め、人権擁護、民主主義確立などを目指し、1949年欧州議会(CouncilofEurope)を設立した。
欧州議会は早くから言語教育に取り組み、1975年“TheThresholdLevel”を出版した。これはA言語を機能・概念から捉えたもので、当時世界中の外国語教育に影響を与えた。その後、1991年、人々の移動が盛んになるなか、欧州評議会はさまざまな既存の言語能力基準や言語学習に関するガイドラインを一貫した共通の枠組みとして打ち出した。言語能力の記述尺度設定のため、能力記述文を収集、検証し、試行、議論を重ね、10年後の2001年に、それらを基にした枠組み(1)を発行した。これはコミュニケーションのために必要な能力、関連する知識やスキル、さらに場面や領域を詳細に記述している。その中で提唱している言語熟達度の6レベルの尺度は、ヨーロッパでは既に定着しつつあり、多くの言語政策、各種機関のカリキュラム制定、教材開発などに利用されている。
(1)を具体的に用いるための教育的ツールとして欧州議会の下に考案されたのが、ヨーロッパ(2)である。これはB学習者が所有し、熟達度の自己診断や目標設定など、学習者の自立的学習を促すものとなった。
問1)文章中の(1)、(2)に入る最も適当なものを選べ。
(1)
- ツーボン法
- ヨーロッパ基本権憲章
- ワイダー・ヨーロッパ
- ヨーロッパ言語共通参照枠
(2)
- 言語コーパス
- 言語アセスメント
- 言語キャパシティー
- 言語ポートフォリオ
問2)文章中の下線部Aについて、最も適当なものを選べ。
- ASTP
- MLAT
- コミュニカティブ・アプローチ
- オーディオ・リンガル・アプローチ
問3)文章中の下線部Bの背景にある目標として不適当なものを選べ。
- 生涯にわたり複言語主義を身につける。
- 特定の母語話者をモデルとした言語教育観を持つ。
- 言語的、文化的多様性を保護すると同時に促進する。
- 移動を容易にするために、言語能力および資格を明瞭にする。
[473]次のそれぞれの問いにこたえよ。
問1)オーズベルの「有意味受容学習」に関する記述として適当なものを選べ。
- 知識や真理を学ぶとき、原発見の過程を各自の力で再発見させ、経験させて学習していく。
- 適切な先行オーガナイザーによって、新しい学習が認知構造内に無理なく取り入れられる。
- 学習主体が社会的実践に参加して、徐々に有能さを発揮し一人前になっていく過程の全体を捉える。
- 他人の行動を観察することによって、本人が実際に体験していなくてもその行動様式を学習することができる。
問2)誤用分析の立場で学習者の母語に関わらず、どの学習者にも共通に見られる間違いをどのように呼ぶか。
- 負の転移
- 言語間エラー
- 言語内エラー
- バックスライディング
[474]次のそれぞれの問いに答えよ。
問1)中国語(北京語)を母語とする日本語学習者のアクセントの傾向として、頻度が高いと思われるものを、次の中から二つ選べ。
- 高い拍や低い拍が続く複合語アクセントで、複合語を分解して発音してしまう傾向がある。
- 母語の単語の約7割が第1音節にアクセントがあるので、日本語の2拍語も頭高にしてしまう傾向がある。
- 高さだけでなく、強さでアクセントを出そうとしたり、その部分を不必要に長く撥音したりする傾向がある。
- 高低差が普通の日本語よりも大きく、総じて上昇下降の頻度が高い傾向にある。
- 「k,y,h,t」+短母音は高く発音するため、1拍語の「か」「や」「は」「と」などに助詞がつくと頭高になる傾向がある。
問2)日本語のアクセントとイントネーションの関係について、適当でないものを選べ。
- アクセントが社会的慣習なのに対して、イントネーションは必ずしもそうとはいえない。
- アクセントがある程度体系的なのに対して、イントネーションはそうではない。
- アクセントが主観的なものに左右されるのに対して、イントネーションにはそのような傾向はないといえる。
- アクセントの音量変化は高低で表されるのに対して、イントネーションは上昇、下降などの抑揚で表されるといえる。
- アクセントが単語レベルで与えられた変化に対して、イントネーションは文レベルに与えられた変化であるといえる。
[475]次の文章を読み、後の問いに答えよ。
異文化コミュニケーションに臨むにあたって、最も大切な心的態度として、A文化相対主義が挙げられる。文化相対主義は、自分自身が持つ文化を最高であると考える態度を意味する自民族中心主義と対立する概念である。
異文化から自文化を観察する場合に、一方が優れていて他方が劣ったり、またその逆もありえないとする立場である。この概念が文化人類学の発展を促したことはいうまでもない。しかし、異文化コミュニケーションは、実際にこの概念を取り入れきれているのだろうか。異文化コミュニケーションに従事する者の多くが、「全くの」異文化に対しては、曲がりなりにも文化相対主義を念頭においているようだが、同一文化内の下位文化に対しては、文化相対主義を堅持できないでいるのではないか。お互いの文化を相対的に捉え損ねているのではないか。ジェレネーション・ギャップも文化を相対的に捉えれば、埋められるのではないか。
文化相対主義を補強する態度というものがあるとすれば、何であろうか。それは心理学でいうところの“ToleranceforAmbiguity(曖昧性に対する許容性)”だと思う。B自文化を知るということは、気の長い、時間のかかる仕事である。ましてや異文化となると、一生の仕事ではないか。異文化コミュニケーションには誤解がつきものである。その際に、自文化にある既存の価値判断を即座に下すのではなく、むしろ、それをC一旦保留することである。これもまた、「言うは易く、行うが難し」であるが、この保留の態度を学べば、異文化コミュニケーション中の失敗も、知的に楽しめるようになるはずである。異文化コミュニケーションを知り急ぐことはない、とでも言っておこう。
問1)文章中の下線部A「文化相対主義」の考え方を最も反映しているものを選べ。
- 多様な民族集団が一つに融合する「人種のるつぼ」とみる見方。
- 相対的に言葉よりもコンテキストを重視する「沈黙の言葉」とみる見方
- 各民族集団が独自の文化を持ったまま混在する「サラダボウル」とみる見方
- すべての文化がそれなりの価値を内在し「文化的に質的序列なし」とみる見方
問2)文章中の下線部B「自文化を知る」という自覚的態度について述べたキーワードはどれか。
- エスノサイド
- エスノセントリズム
- カルチュアル・リテラシー
- カルチュアル・アウェアネス
問3)文章中の下線部C「一旦保留すること」に関して、哲学者フッサールが現象学で使った用語はどれか。
- エポケー
- ブロッキング
- セルフ・モニタリング
- コグニティブ・コンフリクト
[476]第二言語学習の動機については、次のAとBのような動機が言語の習得度に大きく影響するといわれる。たとえば、移住した学習者がAの動機を強く志向し、これを教師等が支援した場合、これと最も関係の深いものを、次の1.~4.の中から一つ選べ。
A)その言語の話すグループの人たちの文化に強い興味を持ち、帰属したいという願望からその言語を学習する。
B)就職や進学、あるいは昇進したいという現実的な目標からその言語を学習する。
- 統合的動機づけと内発的動機づけ
- 統合的動機づけと外発的動機づけ
- 道具的動機づけと内発的動機づけ
- 道具的動機づけと外発的動機づけ
[477]次の各問いに答えよ。
問1)ベトナム戦争を背景にして、地域協力の動きが活発化し、1967年、アジアの5カ国外相が参集して、バンコク宣言が採択され、新たな機構が発足した。この機構を何というか。
- アジア欧州会合(ASEM)
- アジア生産性機構(APO)
- 東南アジア諸国連合(ASEAN)
- アジア太平洋経済協力(APEC)
問2)WTO(WorldTradeOrganization:世界貿易機関)に関する記述について、不適当なものを選べ。
- ロシアは加盟の交渉をしているが、2005年現在加盟できていない。
- 中国は、模造品や制度の未整備などの問題で加盟が認められていない。
- 貿易・通商に関する紛争解決やサービス貿易、知的財産などを取り扱う。
- GATTに代わる機関として、1995年に設立された国連の関連機関である。
[478]次のそれぞれについて、【 】内に示した観点から見て、他と最も性質の異なるものを選べ。
問1) 【変音現象】
- 稲光
- 風下
- 酒蔵
- 雨戸
- 金槌
問2) 【「~によって」+受身の種類】
- ビゼーによって作曲されたものですか。
- 地震によって切断された道路が復興しました。
- 家康によって江戸城が建てられたわけではない。
- 国によって名前を強制的に変えられるところもあるそうだ。
- 50年ほど前、日本人だった人が条約によって国籍を奪われた。
問3) 【「される」の種類】
- 待たされた客の身にもなってくれ。
- 毎日、廊下に立たされるなんてひどいね。
- 金利の低下で、老後の生活が脅かされそうだ。
- 巧みな尋問で、思わず隠していたことを言わされた。
- ひどい天気にもかかわらず、単車で集金に回らされた。
[479]次の文章を読み、各問いに答えよ。
言語習得の研究が本格的に行われるようになったのは、1950年代から60年代にかけてである。言語習得は、当時、行動主義心理学と構造主義言語学を背景に ①刺激―反応による習慣形成であると考えられた。特に外国語習得は成人言語の単なる模倣であり、学習者による誤りは母語の干渉による負の現象であると認識されたのである。このため、外国語の教授・学習で困難とされる言語間の相違点を明確にする対照分析研究が急速に発達したのである。
1960年代後半、②コーダーは、「誤り」が負の現象であるという認識とはまったく異なる観点を示した。つまり。「誤り」は回避されるべきものではなく、言語習慣上、必要不可欠なステップだと考えたのである。
問1)文章中の下線部①に関係のある教授法として、最も適当なものを選べ。
- GDM
- TPR
- TTTI
- オーディオ・リンガル法
問2)文章中の下線部②の観点から「私は彼女を結婚します」という英語圏の学習者の誤用は何と呼ばれるか。
- 過剰般化
- 負の転移
- 言語間エラー
- 言語内エラー
[480]次の文章を読み、各問いに答えよ。
第二言語習得の理論、仮説、モデルなどは研究者の基本的な立場によって、いくつかに大きく分けることができる。
まず、チョムスキーの普遍文法から始まり、1970年代の言語習得研究に大きな影響を及ぼした ①クラッシェンのモニター理論がある。
さらに、環境の影響を重視する社会言語学的な ②シューマンの「文化変容モデル」、また、第二言語を母語話者レベルに習得する時間的検討する「( A )」、インプットからインテイクに至る過程を効率的にするために意味の交渉を増やすことを勧めるロングの「( B )」など、異なった見地からの検討が続けられている。
1990年代からは、認知面に重きを置いた言語習得研究を見直す社会的アプローチも提出されるようになった。
問1) 文章中の下線部①と最も関係が深い外国語教授理論は何か。
- ナチュラル・メソッド
- ベルボトナル・メソッド
- ナチュラル・アプローチ
- コグニティブ・アプローチ
問2) 文章中の下線部②の説明として最も適当なものを選べ。
- 人は状況や文脈の中から有用な知識を習得する。
- 人間の思考、世界観などは話者の母語に依存している。
- 人間の認知スタイルは、場への依存度によって影響を受ける。
- 目標言語集団への社会的、心理的距離が第二言語習得に影響する。
問3) 文章中の下線部②の説明として最も適当なものを選べ。
- しきい仮説
- 総時間仮設
- 臨界期仮説
- プロトタイプ仮説
問4) 文章中の( B )に入る最も適当なものを選べ。
- 意味対立仮説
- インプット仮説
- アウトプット仮説
- インターアクション仮説
[481]次の記述と最も関係の深いキーワードを選べ。
問1)教育のあり方をめぐる対立した概念の一つであるが、これは、知識・技能を習得する能力そのものを育もうとするもので、古典や数学などを学ぶことで形成された能力が他の領域に転移することを前提にしている立場である。
- 成熟説
- 形式陶冶
- 実質陶冶
- 相互作用説
問2)教育心理学における心理行動の一つで、ローゼンタールらは、教師が児童・生徒に対して持っているいろいろな期待が、彼らの学習成績を左右することを実証した。
- プラサボ効果
- ホーソン効果
- ピグマリオン効果
- プライミング効果
[482]次のそれぞれについて、【 】内に示した観点から見て、他と最も性質の異なるものを選べ。
問1) 【「大(たい)…」の意味】
1. 大金 2. 大役 3. 大衆 4. 大軍 5. 大差
問2) 【複合要素の関係】
1. 海洋 2. 山岳 3. 土砂 4. 天地 5. 道路
問3) 【「ばかり」の意味】
1. あとは出発するばかりだ。
2. 状況は悪化するばかりだ。
3. ご迷惑をかけるばかりで恐縮です。
4. 文句を言うばかりで、動こうとしない。
5. 気持ちがあせるばかりで、何も進んでいない。
[483]次のそれぞれについて、【 】内の下線部のような間違いを犯した学習者に対して文法的な説明をする際、用いる例文として不適当なものはどれか。
問1)【去年まり子を結婚しました。】
- 昨日、友だちと会いました。
- 阪神は中日と優勝を争った。
- 旅行の日程を業者と相談しました。
- 先週、彼女とサッカーを見に行きました。
問2)【公園で子どもが泣きます。】
- 鳥が空を飛んでいます。
- 玄関のドアが閉まっています。
- マラソン選手が箱根を走っています。
- 太郎は、今テレビゲームをしています。
問3)【お腹がすけば、死にそうです。】
- 明日は忙しくて、行けません。
- 雨に降られて、外出できません。
- 食堂に入って、カツどんを注文しました。
- 太郎は風邪をひいて、学校を休みました。
[484]次のそれぞれの問に答えよ。
問1)人間の長期記憶へ情報を転送するための「精緻化リハーサル」に相当するものはどれか。
- 情報をいくつかの、かたまりに区切り直す。
- 電話番号をリハーサルして、音響的に符号化する。
- 黒板に書かれた数式を意味を考えずに、ノートに書き写す。
- 複雑な漢字を覚えるときに、字の形を視覚的に符号化する。
問2)授業において、学習者の知的好奇心を利用することは、有用な方法である。そのような授業方法に発見学習がある。これについて最も適当なものを選べ。
- 弁別的な強化だけでなく、観察によって学習が成立する。
- 既成事実としての宣言的知識を、効率よく伝達することである。
- 既有の間違った知識や先入観を利用して、驚きを引き起こすことである。
- 試行錯誤の行動後に、望ましい結果が得られれば、その行動が強められる。
問3)ある言語で、例えば「依頼」をする場合、その言語の社会文化的規範の制約を受ける。しかし、この規範は、文法的な規範とは異なり必ずしも明確に記述されていないので、第二言語での習得が難しい。学習者が、母文化での規範を、第二言語使用に当てはめてしまうことを何というか。
- 過程的転移
- 語用論的転移
- 言語内エラー
- 言語間エラー
[485]次のそれぞれについて【 】内に示した観点から見て、他と最も性質の異なるものを、それぞれ一つ選べ。
(1) 【「頭」の意味】
1. 頭に入れる
2. 頭を振る
3. 頭がいい
4. 頭を使う
5. 頭を切り替える
(2) 【複合語の構造】
1.湯沸し 2.仲直り 3.日照り 4.腹立ち 5.人だかり
(3) 【形態論的類型】
1.トルコ語 2.ベトナム語 3.モンゴル語 4.ハンガリー語
5.フィンランド語
[486]【 】内に示した観点から見て、他と最も性質の異なるものを、それぞれ一つ選べ。
(1) 【「で」の用法】
1. 小声で話す
2. 裸足で歩く
3. 日照りで枯れる
4. すきっ腹で帰る
5. 着物姿で出かける
(2) 【対義語(反義語)間の意味的関係】
1.(品物を)売る/買う
2.(製品を)積む/降ろす
3.(ひもを)結ぶ/ほどく
4.(貯金を)増やす/減らす
5.(価格を)上げる/下げる
(3) 【「細い」の意味】
1.細い道
2.細い管
3.細い枝
4.細い線
5.細い声
[487]次の各問に答えよ。
問1) 明治時代以後の日本政府のアイヌへの対応について述べたものとして適当なものを選べ。
- 1871年の戸籍法では、アイヌの存在そのものが否定され、戸籍には「旧土人」と記載された。
- 1899年公布の「北海道旧土人保護法」は、初めてアイヌを法的に位置づけ、アイヌの自立を促す契機になった。
- 1901年「旧土人学校」を設立して、アイヌ語は野蛮な言葉なので、家でも使わないように指導した。
- 1997年「北海道旧土人保護法」が廃止され、「アイヌ文化振興法」が制定されたのを契機にアイヌの先住権を初めて日本政府が認めた。
問2) 政府開発援助(ODA)について述べたものとして不適当なものを選べ。
- 1954年、日本はマーシャル・プランへの加盟を決定し、開発途上国へODAを開始し、今年で51年を迎える。
- 1991年以来、世界一の援助規模を維持してきた日本の途上国援助も、2001年ついに首位の座をアメリカに明け渡した。
- 1992年、日本政府はODA大綱をまとめ「軍事的用途への使用回避」「軍事支出などの動向への注意」を掲げる理念と原則を閣議で決定している。
- 2001年現在、経済規模から見た日本のODAの割合は、対GNP比で、0,23%となっており、国際目標を下回っている。
[488]次の文章を読んで、問に答えよ。
日本語教師という職業は外国人に日本語を指導する職業であるから、その職場は日本国内に限らず世界中に広がっている。国際交流基金の統計結果では2003年時点で、全世界における日本語学習者数は約(1)人である。また、学習者数の多い国を順位で表すと(2)となっている。
このように見ると、日本語を教える技術さえあれば、誰でも世界各地で日本語教師ができそうに思えるかもしれないが、実際にはそれほど簡単ではない。
日本を離れて外国で収入を得るには、任地国での就労ビザが必要となる。このビザは申請さえすればすぐに手に入れられるというものではなく、OECD諸国や台湾では(3)以上の学歴がなければ日本語教師としての就労ビザを取得することはできない。
このように外国で日本語教師として収入を得ながら生活をするということはそんなに簡単なことではないが、年齢的に若い人にはワーキング・ホリデーという制度がある。いろいろな国が相手国の青少年に対して自国の文化や一般的な生活様式を理解する機会を提供するために、自国において一定期間の休暇を過ごす活動とその間の滞在費を補うための就労を相互に認めるという制度なのである。この制度を利用して、外国での生活を実体験しながら国際感覚を身につけようとする人も多い。2003年現在、日本とワーキング・ホリデー制度を交わしている国は(4)の7カ国である。
仕事ということでなければ観光で訪れることになるが、ツーリスト・ビザでの就労は禁じられるのが普通である。
問1. (1)に入る適当な数字を選べ。
1. 205万 2. 215万 3. 225万 4. 235万
問2. (2)に入る適当なものを選べ。
1. 1位-中国 2位-韓国 3位-アメリカ
2. 1位-韓国 2位-中国 3位-オーストラリア
3. 1位-韓国 2位-オーストラリア 3位-中国
4. 1位-中国 2位-オーストラリア 3位-韓国
問3.(3)に入る適当なものを選べ。
1. 短期大学卒業 2.4年制大学卒業 3.修士課程修了 4.博士課程修了
問4.(4)に入る適当なものを選べ。
1. オーストラリア・ニュージーランド・カナダ・韓国・フランス・ドイツ・イギリス
2. オーストラリア・ニュージーランド・カナダ・アメリカ・フランス・ドイツ・イギリス
3. オーストラリア・ニュージーランド・中国・韓国・フランス・ドイツ・イギリス
4. オーストラリア・ニュージーランド・カナダ・韓国・フランス・ドイツ・オランダ
[489]
問1)「結果の状態」を表す「~ている」という文型を導入する際に、最も適切な会話例を選べ。
- A:Cさんは、どこにいますか。B:Cさんは、あそこで新聞を読んでいますよ。
A:ああ、いました。ありがとう。 - A:毎日、いやなニュースが多いですね。B:ええ、毎日世界中で多くの人が死んでいますからね。
A:明るいニュースが欲しいですね。 - A:Bさんは、独身ですか。B:いいえ、結婚しています。どうしてですか。
A:いや、今度独身の人のパーティがあるんですが・・・。それじゃあ、だめですね。 - (電話で)A:今何をしているの?
B:今ご飯を作ってる。
A:そう、近くまで来たんだけど、ちょっと出かけられない?
B:ごめん、今は無理。また今度ね。
問2)会議の資料を用意しておいてください」という文型を指導している。文型練習で使う例文として不適切なものを選べ。
- 雨は降りそうにないので、看板はあしたまで外に出しておいてください。
- 資料を用意したら、会議室の机の上に置いておいてください。
- 2時にはお客さんが来ますから、コーヒーを入れておいてください。
- 今度の試験は難しいので、よく復習しておいてください。
問3)敬語の指導を行っているとき、外国人学習者が「では、イスにお座りします」という発話をした後、自分の席に座った。どうも謙譲表現の理解が十分ではないらしい。この学習者の指導のポイントとして最も適切なものを選べ。
- 謙譲表現は自分より目上の人物に対して使われることが理解できていないので、その点をよく確認する。
- 謙譲表現には、ただ自分の行為をへりくだるものがあり、その場合は使う動詞が限られている点をよく確認する。
- 謙譲表現は、目上の人物に対する自分のへりくだった行為にのみ使われることをよく確認する。
- 謙譲表現は、ただ自分の行為をへりくだって言えばよいというものではなく、行為の受け手の反応を予測して使わなければならないことをよく確認する。
[490]次の教師のコメントは、どのような概念を反映しているか。適切なものを選べ。
問1 教師が頻繁に行う小テストが文法項目中心だったり、語彙中心だったり、あるいは内容中心だったりすることによって、学習者の勉強方法は変わってくる。別の言い方をすれば、優れたテストは学習者が何を学べばいいのか、望ましい到達目標を具体的な形で示すことになる。
1.波及効果 2.天井効果 3.全体的評定 4.分析的評定
問2 教師の役目は、単に文法や語彙といった言語項目・知識を伝授するだけでなく、より自律的な学習者を育てるように、学習を効率よく進めるためのスキルや方略を指導することも重要である。個人差はあるものの、学習者に効果的に学習できることを気づかせたり、練習させたりすることによって、問題を解決できる。
1.ビリーフ 2.参与観察 3.学習者オートノミー 4.ストラテジー・トレーニング
問3 幼児の母語習得の第一歩は、大人の指示に対する身体の反応である。したがって、聴解を優先して、口頭作業はしばらく要求しないことが重要である。
1.CLL 2.TPR 3.サイレント・ウェイ 4.ナチュラル・アプローチ
[491]次の記述と最も関係の深いキーワードを、それぞれ選べ。
問1 社会心理学者のリップマンは「人は物事を見てから定義しないで、定義してから見る傾向にあり、その定義も自分の文化にもとづいて行われるきらいがある」と自著『世論』で初めてこの用語を使った。
1.偏見 2.フレーム 3.自己中心主義 4.ステレオタイプ
問2 教師が学習者を見る場合、成績の良い学習者は性格や行動の面でも肯定的に評価しがちであるのに対して、成績の悪い学習者はすべての面で問題があるかのように見てしまいがちになる。評価者はこうした認知の歪みに十分な注意を払う必要がある。
1.寛大効果 2.ハロー効果 3.傍観者効果 4.マスキング効果
[492]次の文を読んで、空欄に入る適切なものを一つ選べ。
ある出来事を言い表すのに、その発話時点のことを言うのか、未来のこととして言うのか、過去のこととして言うのかによって、述語が規則的に変わる時、そのような法則を( ① )という。
言語の中にはこの①の規則をもっぱら副詞や名詞で表す( ② )のような言語も存在する。日本語ではル形とタ形でこの規則を表すことが多いが、ル形が未来を表すものに( ③ )がある。
① 1.テンス 2.ヴォイス 3.コピュラ 4.アスペクト
② 1.タイ語 2.英語 3.チベット語 4.ネパール語
③ 1.名詞文
2.形容詞文
3.動作性の動詞文
4.状態性の動詞文
[493]【 】内に示した観点から見て、他と最も性質の異なるものを、それぞれ一つ選べ。
(1) 【「という」の用法】
1. 消費税が上がるという見方
2. 日本語を教えるという仕事
3. すぐに取り組もうという発言
4. 来期は黒字になるという報告
5. 規制を緩和すべきだという意見
(2) 【「母音の無声化」(東京語)】
1.にく(肉)
2.くさ(草)
3.きしゃ(汽車)
4.しかく(四角)
5.つくえ(机)
(3) 【「複合語」の変音現象】
1.谷川
2.木立
3.花火
4.春霞
5.三日月
[494]【 】内に示した観点から見て、他と最も性質の異なるものを、それぞれ一つ選べ。
(1) 【東京アクセントの特徴を指摘しているもの】
1. 高低アクセントである。
2. N拍語にはn+1のアクセントの型がある。
3. 1拍目と2拍目では必ず高さが異なる。
4. 1語の中でアクセントの核が2つ以上現れることがある。
5. アクセントの型は、核の有無と位置がわかれば示すことができる。
(2) 【「の」の意味】
1. 漢字のテスト
2. 熱帯植物の本
3. 山歩きの達人
4. 恩師の田中先生
5. 児童心理学の権威
(3) 【対応する他動詞の形態】
1.(気が)きく
2.(花が)さく
3.(戸が)あく
4.(子どもが)なく
5.(体が)うく
[495]
(1) 形成的評価について述べた。適切でないものを一つ選べ。
- 学習者の学習習得状況について評価される。
- 日常の教授活動(教師)と学習活動(学習者)、両者にフィードバックが行われる。
- 測定結果、観察結果に対して相対評価を行うのが一般的である。
- 学習単位ごとに到達目標がどの程度達成されたのかを評価する。
(2) 【 】内に示した観点から見て、他と性質の最も異なるものを、ひとつ選べ。
①【敬語の用法】
- 明日、先生のお宅に伺います。
- 社長のお迎えは私が参ります。
- 韓国のパクと申します。
- お坊ちゃんのご用意は私がいたします。
②【格助詞「を」の用法】
- ご飯を食べます。
- 家を出ます。
- 橋を渡ります。
- 空を飛びます。
[496]
(1) 「情は人のためならず」という諺の意味として正しいものを選べ。
- 人を甘やかしてしまうのは、長い目で見ればその人のためにはならない。だから人に情を安易にかけるべきではない。
- 情を人にかけることは、巡り巡って最終的には自分によい報いとしてかえってくるものだ。
- 人に情をかける場合は、そこに至った経緯や状況を考えて、その人のためになるのかどうかをよく吟味しなければならない。
- 道徳的な立場からいえば「義理」と「人情」という二つの立場があり「義理」のほうが「人情」よりその価値が高い。
(2) 【 】内に示した観点から見て、他と性質の最も異なるものを、ひとつ選べ。
① 【「~ています」の用法】
- あんなところにビスケットが落ちています。
- 父は3年前に亡くなっています。
- 彼は今、出張でアメリカに行っています。
- アフリカでは今もたくさんの人々が内戦で苦しんでいます。
② 【「~ておく」の用法】
- 今度の試験はとても難しいので、よく復習をしておいてください。
- 楽しみにしていたヨーロッパ旅行はかなり長いので、歯医者に行っておこう。
- この部屋はそのまま使うので、灰皿はしまわないで出しておいてください。
- 料理の材料は、作り始める前に用意しておくものだ。
[497]次の文章を読んで、①~⑥に入る適当なものをa~jから選べ。
日本語教育における「動詞分類」の呼称は国語教育におけるそれとは異なる。まず、活用という観点から整理された分類表を下に示す。
国語教育 日本語教育
① 1グループ動詞
② 2グループ動詞
③ 3グループ動詞
次に、日本語教育の指導に関わる観点から見てみよう。この視点では「コトの類型」(これは寺村秀夫の用語である)という基準が適用されるのが一般的である。コミュニケーションに関わるすべての日本語の文は「コトガラ+④」で成立している。「コトガラ」とは客観的な事実を述べる部分、「④」とは話者の心的言語態度を表す部分のことである。例えば、「雨が降るだろう」という文は「雨が降る=コトガラ」「だろう=④」のように分解される。日本語でコトガラを構成する一番重要な要素は⑤である。
動詞を「コトの類型」で分類するということは、それぞれの動詞が必要とする⑥が何かという観点で分類するということである。例えば、「行く」という動詞は・誰ガ?・どこヘ?という二つの⑥を必須のものとして要求するのである。
a. 変格活用動詞(カ変・サ変) b. モダリティ c. 主語
d. 述語 e. 五段活用動詞 f. 状況語
g. シンタクス h. 一段活用動詞(上一・下一)
i. 補語 j. ジェンダー
[498]【 】内に示した観点から見て、他と性質の最も異なるものを、ひとつ選べ。
(1)【「こんど」の用法】
1. こんど、ぜひ家に遊びに来てください。
2. こんどの新幹線は熱海には止まりません。
3. こんどのコンサートはピアノがよかったと思う。
4. こんどの試験はがんばらないと卒業できないかもしれない。
(2)【動詞の種類】
1.浮く 2.空く 3.付く 4.抜く
(3)【「ん」の発音】
1.たんぼ 2.あんない 3.げんだい 4.はんたい
[499]
(1) クラスの外国人学習者から「『今日は熱があって、学校を休みたい』という文は間違いだと日本人から言われたが、どうしてか」という質問を受けた。この質問に対する教師の説明として最も適切なものを選べ。
- 「~て」で表される文は時間的な出来事の順番を示すだけで、この文のように原因や理由を表すことはできません。
- 「昨日は熱があって、学校を休みました」という文は自然です。このように過去のことに対しては、「~て」で原因や理由を表すことはできますが、現在のことや未来のことに対しては「~て」で原因や理由を表すことはできません。
- 「~て」で示す内容が原因や理由を表すことはありますが、この文のように「ある」や「いる」のような状態を表す動詞では、例外的にその働きを持たせることはできません。
- 「~て」で示す内容が原因や理由を表すことはありますが、時間的に出来事の起こった順番を並べた結果、原因や理由という意味が生まれているのです。だから後の文で「~たい」や「~よう」などの積極的な気持を表す表現を一緒に使うことはできません。
(2) 「言う通り」をひらがな書きした。正しいものを選べ。
- いうとうり
- いうとおり
- ゆうとうり
- ゆうとおり
(3) 「流れに棹さす」という慣用句の意味として適切なものを選べ。
- 流れをつかんで時流に乗る。物事が順調にはかどること。
- 物事の順調な流れを止める。勢いを削ぐということ。
- 流れを止めて、物事の調子を変える。ペースを変えるということ。
- 物事の自然な順番を覆す。作為的な流れを作るということ。
[500]【 】内に示した観点から見て、他と性質の最も異なるものを、ひとつ選べ。
(1) 【「ために」の用法】
1. 結婚のために会社を辞めることにしました。
2. 雪のために新幹線が止まっています。
3. 最近、やせるためにお酒をやめました。
4. アメリカへ行くために英語の勉強を始めた。
(2) 【母音の舌の位置】
1.ゆ 2.む 3.く 4.つ
(3) 【「てくる」の用法】
1. Aさんは毎朝、会社へ歩いてくる。
2. 至急の用事があるので、急いできてください。
3. ちょっと、タバコを買ってくる。
4. 明日はお弁当を持ってくることを忘れないでください。
[501]【 】内に示した観点から見て、他と性質の最も異なるものを、ひとつ選べ。
(1)【受け身文の種類】
1. 太郎は母親に日記を読まれた。
2. 次郎は弟にパソコンを壊された。
3. 三郎は四郎に先に行かれた。
4. 五郎は六郎におやつを食べられた。
(2)【漢字の成り立ち】
1. 峠 2. 働 3. 辻 4. 噂
(3)【有標】
1. 広さ 2. 高さ 3. 長さ 4. 軽さ
[502]次の文章を読んで、後の各問に答えよ。
音声学的な最小単位の( ① )は、厳密に言えば、誰でもまたいつでも全く同じ音として発音されているわけではない。物理的には必ず異なると言っても過言ではない。発音を行う各個人の音声器官の個人差や身体的・心理的条件なども一回一回の発音には影響してくるからである。このような不確実性にもかかわらずコミュニケーションが成立するのはなぜだろうか。それは、実際には聞き取る側からすると、細かい物理的な発音の差が問題なのではなく、意味・内容・感情などを伝えるために必要な違いにだけ注意が向けられているからである。④そのために一つの言語の中では、ある一定の数の音が一定の組織・体系に基づいて繰り返し使われているのである。このような「意味の区別に関係する音の最小単位を( ② )と呼び、( ① )とは区別する。( ① )の表記には国際音声記号(IPA)を使い、その概略的表記は( ③ )に入れて示すのが通例である。
(1) ①~③に入る適当なものをそれぞれ一つずつ選べ。
a. 音素 b. 音節 c. 単音 d. 拍 e. 異音
f. // g. [ ] h. 「 」 i. 【 】
(2) 下線部④について、日本語の音節数について述べた。正しいものを選べ。
1. 日本語の音節数は英語や韓国語に比べて非常に多い。
2. 日本語の音節数は英語や韓国語に比べて非常に少ない。
3. 日本語の音節数は英語や韓国語とほぼ同数である。
4. 日本語は拍という単位で発話する特殊な言語なので他の外国語と音節数を比べることはできない。
[503]
(1) クラスの外国人学習者から「日本人の発音では『がくせい』の「く」や『しつもん』の「し」の音はきちんと発音していないように聞こえるのだが」という質問を受けた。この疑問に対する教師の説明として、最も適切なものを選べ。
- 日本人でも人により言い方にいろいろな癖があるのが普通です。『が-k-せい』や『sh-つもん』のように発音するのがその人の癖だと思うので、気にしないほうがいいですね。
- 日本にも方言というものがあります。地方地方によって、言葉や発音が違うのです。たしかに『が-k-せい』や『sh-つもん』のような言い方をする地方もありますが、東京の言葉ではそんなことはないので、気にしないほうがいいですね。
- [k]や[s]や[t]のような音の後では、イやウの音は出さないのが普通の言い方ですから、きちんとした「く」や「し」の音に聞こえないのです。
- [k]や[s]や[t]のような音の間にあるイやウの音は出さないのが普通の言い方ですから、きちんとした「く」や「し」の音に聞こえないのです。
(2) 【 】内に示した観点から見て、他と性質の最も異なるものを、ひとつ選べ。
①【「たら」の用法】
- 明日、雨が降ったらハイキングは中止です。
- 6時になったら見たい番組が始まるから、その前に宿題を済ませよう。
- お金持ちになったら絶対にオーストラリアに住みたい。
- 大学に合格したら家を出て一人暮らしをするのが夢だ。
②【「らしい」の用法】
- 大雪で電車が止まっているらしい。
- 彼ほど日本人らしい人間はいない。
- 明日からここで工事が始まるらしい。
- 今度の試験はとても難しいらしい。
[504]【 】内に示した観点から見て、他と性質の最も異なるものを、ひとつ選べ。
(1)【受け身文の種類】
- 太郎は母親に日記を読まれた。
- 次郎は弟にパソコンを壊された。
- 三郎は四郎に先に行かれた。
- 五郎は六郎におやつを食べられた。
(2)【漢字の成り立ち】
- 峠
- 働
- 辻
- 噂
(3)【有標】
- 広さ
- 高さ
- 長さ
- 軽さ
[505]【 】内に示した観点から見て、他と性質の最も異なるものを、ひとつ選べ。
(1) 【縮約】
1 書かす 2 読ます 3 話さす 4 寝かす 5 食べさす
(2) 【言語運用能力】
1 社会言語学能力 2 ストラテジー使用能力 3 談話構成能力 4 文法能力
(3) 【調音法】
1 [s] 2 [h] 3 [z] 4 [Φ]