#02. 異文化接触

[9]次の文章を読んで、( ① )~( ④ )に入る適当なものをそれぞれ選べ。
 文化は伝承されるものであり、人間は幼いときから、自らを取り巻く社会の規範を学びとっていく。それぞれの集団にはその集団なりの文化があり、人はその文化を学びとることで、その文化の成員になっていく。
 特定の文化環境に生まれ育ち、そこで文化を学習して適応することを( ① )という。
( ② )とは、ある程度の( ① )を経た人が、他の文化集団やその成員と持つ相互作用とされる。その際、相手となる文化の特徴を自己の内部に取り込むことを( ③ )という。この場合、表面的に行動面などを取り入れることは容易かもしれないが、内面的にその文化の人々と同じように感じることは難しい。
 これに対して、( ② )により文化的特質や文化様式が変化することを( ④ )と呼ばれる。( ④ )とは「異なる文化を持った集団が、継続的に直接的に接触し、その結果、双方あるいはいずれかの集団の文化的パターンが変化するような結果が生じる現象」のことであり、この( ④ )の決め手となるのは新情報である。旧情報である自文化の中に新情報である新たな外部の文化が加わることで、文化情報全体の組み換えが生じてくるのである。たとえば、冷蔵庫や洗濯機といった電気製品が家庭の中に普及し、従来の日常生活のパターンが変化したことなども( ④ )とされる。

a.文化変容  b.文化化  c.同化  d.異文化接触  e.文明開化

[10]次の記述と最も関係の深いキーワードをそれぞれ選べ。
問1)母語と第二言語の関係は、子どもの母語や、それに伴う認知力が発達しているほど第二言語も発達しやすくなる。母語が低い発達段階にあると、第二言語や認知力の発達も難しくなる。

  1. 状況モデル
  2. 有標性差異仮説
  3. フィルターモデル  
  4. 言語相互依存仮説

問2)児童・生徒の大多数にとっては母語であるが、少数の外国人児童・生徒にとっては第二言語である言語で授業が行われる。

  1. リビジョン
  2. イマージョン
  3. インバージョン
  4. サブマージョン

[11]次の文章を読み、後の問に答えよ。
一人の人間が悩みや問題を持ち、その解決を望んでいるときに、他の人間が援助する。このとき悩みや問題を持ってくるひとがクライエントで、それを援助する人がカウンセラーである。Aカウンセリングは、特定のカウンセラーとクライエントが作り出す、二度と同じことがありえない独特のかかわり合いである。
  カウンセリングの進行や経過に伴い、両者の姿勢や気持ち、関係、相互作用が重要な要素となる。このプロセスを経験し、カウンセラーとクライエントの間で形成される信頼関係を(1)という。
  カウンセラーは、クライエントが自由に自己開示できるように、クライエントの不安や緊張した心理状態を受け止め、クライエントにとって安全で信頼できる環境を作ろうと努める。
  カウンセリングは、その源を職業指導にたどることができ、後に進路指導や学校生活への適応など、教育の場における心理的援助活動に対してこの用語が使用されるようになった。そこにはB人間が自己実現に向かって自分で目標を定め行動ができるという「成長モデル」の人間観が反映されている。
  カウンセリングと心理療法は混同されることがあるが、心理療法は、その源が医学にあり、患者の問題や症状を、精神的・心理的障害として治療するのが専門家の役割と考える「医療モデル」に基づいている。

問1)文章中の下線部Aについて、来談者中心療法を創始したロジャーズの挙げたカウンセラーの態度として、不適当なものを選べ。

  1. 相手を無条件に受け入れようとする態度
  2. いかなる相手に対しても一つの基準で接する態度
  3. 相手の感情や考えに積極的に耳を傾ける傾聴の態度
  4. その人の世界をカウンセラーも体験しようとする共感的な態度

問2)文章中の(1)に入る最も適当なものを選べ。

  1. エポケー
  2. ラポール
  3. ユートピア
  4. アウェアネス

問3)文章中の下線部Bについて、ロジャーズ以後、小集団で互いに率直に感想を表明しあい、他者との出会いを体験していくスタイルが展開した。これを何というか。

  1. エンカウンター・グループ
  2. セルフ・ヘルプ・グループ
  3. モチベーション・リサーチ
  4. カルチュラル・クレンジング

[12]次の文章を読み、後の問いに答えよ。
 法務省入国管理局の発表(平成18年5月)によると、平成17年末現在における外国人登録者数は、約( ① )に達し、過去最高記録を更新した。この数は10年前(平成7年末)に比べると47.7%の増加となっている。
 また、外国人登録者の総人口(総務省統計局の「平成17年10月1日現在推計人口」による)に占める割合は( ② )となっている。
  外国人登録者の国籍(出身地)の数は、186カ国(無国籍を除く)となっており、、韓国・朝鮮が全体の約30%を占め、以下、中国、ブラジル、フィリピンと続いている。
 また、在留資格の構成比は( ③ )が全外国人の約40%を占めている。

問1 文章中の( ① )~( ③ )に入る最も適当なものをそれぞれ選べ。
1 180万人 2 200万人 3 235万人 4 300万人
②:1 0.57% 2 1.57% 3 2.57% 4 3.57%
③:1 就労 2 永住者 3 定住者 4 日本人の配偶者等

問2 平成17年の都道府県別の外国人登録者数で上位3つを挙げた。その順位として最も適当なものを選べ。
1 東京都、大阪府、愛知県
2 大阪府、東京都、静岡県
3 東京都、愛知県、大阪府
4 東京都、静岡県、愛知県

[13]次の文章を読み、問いに答えよ。
人間が母語を自由に使用できる権利を言語的人権という。同時に、多言語社会で言語少数者が、現地の国語や公用語を十分に学ぶ機会を保障するとともに、少数言語を保護し、言語差別を否定する考え方である。
言語的人権は「国連憲章」(1945年)や「世界人権宣言」(1948年)にはっきりと示されているが、90年代になって大きな動きになってきた。それは国連などの国際機関が国際条約の形で各国に批准を求め、その順守が民主主義としての人権先進国という評価につながるようになったからである。

問1)言語的人権と関係の薄いものはどれか。

  1. 児童の権利に関する条約
  2. マイノリティー権利宣言
  3. 移民労働者とその家族の人権保護条約
  4. 国際組織犯罪防止条約人身取引議定書

問2)外国人に対する言語サービスの契機となった理由が異質なものを選べ。

  1. 神戸市長田区のミニFM局
  2. 川崎市の外国人市民代表者会議
  3. 大阪府の災害時外国人サポーター認証制度
  4. やさしい日本語(EasyJapanese)による行政文書や防災マニュアル

[14]次の中国帰国者に関する事例を読み、問いに答えよ。
中国・瀋陽出身・男子、小学4年生。帰国者の両親と共に来日。入学する前に病気のため日本の病院で入院生活を半年あまり送っていた。幸い、外向的な性格もあって、周りの同年輩の子どもたちから、またたく間に言葉を覚えた。この児童は、それまで病気のために人間関係を半ば遮断されてきたが、遊んでいくうちに基本的な生活言語を身につけた。
しかし、その後、日本語学級のない学校に転校し、そこでいじめを受ける。学校にはたくさんの人があるが、どんなにたくさんの人がいても、誰にも気持ちは通じない。誰も信頼できなくて、何かを言われれば、すべて悪口に思えてしまった。

問1)文章中の下線部に関係する最も適当なものを選べ。

  1. Acquisition-learningHypothesis
  2. LimitedEnglishProficientStudent
  3. BasicInterpersonalCommunicativeSkills
  4. Cognitive/AcademicLanguageProficiency

問2)文章中の中国帰国者およびその児童について述べたものとして不適当なものを選べ。

  1. 中国からの帰国者に対する日本語教育は、異文化適応の観点からも考えなければならない。
  2. 日本に定住し、将来、確実に日本社会に参入していくという立場から国語教育が優先される。
  3. 中国帰国者といっても、もともと日本にいて、中国から帰ってきたわけではないので、移民に近い存在といえる。
  4. 対象者が学齢期にあっても、日本語を母語としない者なら、国語教育ではなく、外国語としての日本語を教えるべきである。
    問3)日本語指導を必要とする外国人児童に対する現場の処置、考え方として、最も適当なものを選べ。
  5. 一人校では、学年を下げて国語指導をするべきだ。
  6. 学習言語能力のためには、母語の保持、発達が欠かせない。
  7. 生活言語能力の習得を優先させるためには母語の喪失もやむを得ない。
  8. 日常会話ができるようになったら、取り出しをやめて一斉指導に切り替える。