#072. 逮捕要件は何ですか?

2022年11月18日

各都道府県警察の生活安全部サイバー犯罪対策課にはサイバー犯罪捜査官が居る(採用要件はそれぞれ異なるから注意)。なお、生活安全部は特別法(覚せい剤取締法、少年法など)を取扱う部門である。

さて、サイバー犯罪対策課が取締まった事案のうち、良く解らないものがある。それが次である。

兵庫県警察による、ブラクラ取締り事件

リンクが別の自治体警察である警視庁のホームページで申し訳ないが、刑法第168条の2「不正指令電磁的記録」いわゆるウイルス作成罪である。条文は、

第百六十八条の二 正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
二 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
2 正当な理由がないのに、前項第一号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も、同項と同様とする。
3 前項の罪の未遂は、罰する。

というものだ。三年以下の懲役であるから、緊急逮捕が可能といえば可能なのだ。

ブラクラは恐らく、第1項の構成要件に当たる、と兵庫県警察サイバー犯罪対策課は踏んだのだろう。しかし、被疑者を逮捕することはできたが、検察は不起訴にした。立件できぬ(無罪事件になりかねない)と検察は読んだのだろう。

兵庫県警察については、六代目山口組、神戸山口組の取締りで日夜尽力しているとは思うが…上はちょっと短慮だったように思う。

米国では、サイバー犯罪は連邦警察FBIが取締まるのだろうか?

なお、日本の自治体警察においては、サイバー犯罪取締りは一律、国費事件すなわち警察庁が捜査費を支払うそうです。