#21. コミュニケーション能力

[406]次の問は「読解」技能に関するものである。それぞれ質問に答えよ。

問1)「スキャニング」と呼ばれる技能を要求される最も典型的な読解活動はどれか。

  1. 学校でもらったお知らせのプリントを読む。
  2. 時刻表で電車の時間を調べる。
  3. 文学小説を読む。
  4. 学術論文を読む。

問2)「スキミング」と呼ばれる技能を要求される最も典型的な読解活動はどれか。

  1. 学校でもらったお知らせのプリントを読む。
  2. 時刻表で電車の時間を調べる。
  3. 文学小説を読む。
  4. 学術論文を読む。

問3)「スキャニング」と「スキミング」の両方の技能を要求される最も典型的な読解活動はどれか。

  1. 住所録から知人の住所を探す。
  2. 観光案内を見て、どこへ行くか決める。
  3. 新聞や雑誌の記事を読む。
  4. 車を運転しながらカー・ナビゲーションの地図を見る。

[407]次の文章を読んで各問に答えよ。
◆ 聴解力
 聞き取りや読解には、その内容を経験的に理解しようとする処理(1)と、構文やそれを組み立てる単語の理解から概念を構築していく処理(2)の両方が必要となる。すなわち、聞き取りの力を伸ばすためには(3)。また、それと同時に、語彙や表現を増やす努力をしなければならない。
 一方、現実生活のなかでの聞き取りを考えると、テレビ、ラジオ、あるいは講義や仕事上の日本語など、生の音声言語を理解する力が必要とされる。日常的な話を理解するという初級のレベルから、ネイティブ・スピーカーの生の音声言語を聞き取るという上級レベルまでは、音声面においても語彙・語法の面においてもかなりのギャップがある。
 上述のように、初級の文法項目や日本語の音声表現形式をひととおり習得した学習者が上級段階の生の日本語を無理なく聞き取れるように、学習の橋渡しをすることが中級レベルの聴解学習の目標となるのである。

◆ 聴解指導のポイント
 上の目標を達成させるために必要なことは
・日本語理解の前提となる知識を増やすこと
・広い語彙力を習得すること
・聴解の技能は(4)
・講義やニュースなど生の音声言語を聞き取るためのスキルを身につけること。

問1 (1)に入る最も適切なものを選べ。
1. スキーマ処理
2. トップダウン処理
3. ボトムアップ処理
4. ゲシュタルト処理

問2 (2)に入る最も適切なものを選べ。
1. スキーマ処理
2. トップダウン処理
3. ボトムアップ処理
4. ゲシュタルト処理

問3 (3)に入る最も適切なものを選べ。
1. その言語を使う社会の人々の心理的過程を知ることが重要なのである。
2. その言語を取り巻く社会的、文化的、言語的背景の知識を積み重ねることが重要なのである。
3. その言語を取り巻く環境から、人々がどんな経験を積んでいるのかを理解することが重要なのである。
4. その言語が持つ語彙体系や構文の体系をしっかりと身につけることが重要なのである。

問4 (4)に入る最も適切なものを選べ。
1. 短期集中で一度にたくさんの訓練時間をとったほうが身につきやすい。
2. 早い段階から生の音声言語を聞かせて訓練をしたほうが身につきやすい。
3. 最初の段階はプロのアナウンサーのしゃべるクリアな日本語を聞かせて訓練させたほうが身につきやすい。
4. 継続的に短時間の集中した訓練を重ねたほうが身につきやすい。

[408]問1) 文字指導について述べた。誤りを選べ。

  1. ひらがなの学習においては、50音順に学習するように配列された教材が一般的である。
  2. 学習者の国籍によっては、筆順をまったく気にしない学習者もいるので、教師は教室内でそのチェックをすることを怠ってはならない。
  3. 学習者のニーズによっては、文字指導を行わないこともあるが、中上級レベルになると漢字の素養がない学習者の学習進度は遅くなると考えたほうがいい。
  4. 英語圏の学習者にとっては、カタカナの指導は外来語の表記ということで、その意味はわかりやすいので、やりやすいと言える。

問2) 次の文は日本語学習者がネイティブ・スピーカーの日本語を聞き取り、理解するという点で難しいと感じる点について、その理由を記したものである。誤りを選べ。

  1. ネイティブ・スピーカーの日本語は縮約形が混ざったり、丁寧すぎたり、男女差があったりなどいろいろな点において日本語学校で学ぶ日本語とは異なっているから。
  2. ネイティブ・スピーカーの日本語はスピードが速く、また、一部はその場では理解できても、その内容は瞬時に消え去るため、全体の把握が難しいため。
  3. 授業ではテープやCDを使った、理想的な発話を聞き取る練習が中心となっていることが多いが、現実にはいろいろな発話者が個人的な癖や声の調子などをもって発話するため。
  4. 日本語を聞き取り、その内容を理解するという点で、現実の場面では情報が音声だけではなく、相手の表情やジェスチャー、その場の雰囲気なども影響してくるため。