#13. 言語の構造一般
[186]次の文章を読み,各問いに答えよ。
D【言語学基礎】
そもそも「言語」とは何であろうか。言語は人間だけが持つ意思伝達手段だとされているが、蜂が仲間に蜜の場所を知らせるダンスや鳥のさえずりなどのA 動物のコミュニケーション手段との違いはどこにあるのだろうか。
まず人間の言語は、記号の体系であり、B シニフィエとシニフィアンから成っている。このシニフィエとシニフィアンの結びつきには必然性はなく、これを「C 言語記号の恣意性」と呼んでいる。
また人間の言語は、音素のレベルと、形態素のレベルの2段階に分けることができる。
このような仕組みを「D 言語の二重性(二重分節性)」と言う。
問1)文章中の下線部A「動物のコミュニケーション」の特徴を述べた文のうち、誤っているものを選べ。
- 形式と意味が対応している。
- 遠くの仲間とは交信できない。
- 伝達できる情報の種類に限りがある。
- 非常に正確な情報を伝達することができる。
問2)文章中の下線部B「シニフィエ」に関わる現象として最も適当なものを選べ。
- 「梅」は,「うめ」「ウメ」と表記する。
- 「やはり」を「やっぱり」「やっぱし」と言う。
- 「雨」と「飴」のアクセントの型は異なる。
- 「蝶(ちょう)」をかつては「てふ」と表記した。
問3)文章中の下線部C「言語記号の恣意性」の例として最も適当なものを選べ。
- 英語では「犬」のことを“dog”と言う。
- 子どもが「犬」のことを「ワンワン」と呼ぶ。
- 「犬」は「権力の犬」と比喩的にも使われる。
- 「犬」は「いぬ/ケン」の二通りの読み方がある。
問4)文章中の下線部D「言語の二重性」に関わる現象として最も適当なものを選べ。
- 人は多種多様な言語音を発音できる。
- 音素の数には限りがない。
- 無限に多くの文を作り出すことができる。
- 音素の並び方によって語の意味が決まる。
[187]「中国語(標準中国語・北京語)」の音韻的特徴について最も適当なものを選べ。
- アクセントの型について特に定まったものはなく、語の弁別には寄与していない。
- 1字を単位とする高低アクセントを有し、相対的な音の高さにより語の弁別をする。
- ある音節にストレスを置いて強く発音するかそうでないかで区別する強勢アクセントである。
- 1音節内で声の高さが変わる声調アクセントで、中国の場合は4つの声調があるので四声という。
[188]【 】内に示した観点から見て,他と性質の異なるものを選べ。
【アジア諸言語の特徴】
- 日本語の敬語は「相対敬語」と呼ばれるものである。
- 中国語では,格関係は語順によってあらわされる。
- ベトナム語とタイ語は同じ語族に属する。
- 韓国・朝鮮語は閉音節言語である。
- モンゴル語の基本語順はSOV型である。
[189]【 】内に示した観点から見て,他と性質の異なるものを選べ。
【語順】
- ヒンディー語
- フィンランド語
- 日本語
- トルコ語
- モンゴル語
[190]【 】内に示した観点から見て,他と性質の異なるものを一つ選べ。
【膠着語】
- 日本語
- 朝鮮語
- モンゴル語
- ベトナム語
- ハンガリー語
[191]【 】内に示した観点から見て,他と性質の異なるものを,1.~5.の中から一つずつ選べ。
【膠着語】
- フィンランド語
- ハンガリー語
- トルコ語
- 中国語
- 朝鮮語
[192]次の【】内に示した観点から見て、他と性質の異なるものを選べ。
【言語の系統】
- イタリア語
- スペイン語
- ブルガリア語
- ポルトガル語
- ルーマニア語
[193]次の文章を読み、各問いに答えよ。
ソシュールは、儀礼・作法などの文化現象を記号としてとらえる記号論を確立し、言語学をその一分野として位置づけた。彼によれば、言語活動の全体のうちには、潜在的言語体系(A)と個々の現実的言語行為(B)とがある。語は、意味するもの(C)と意味されるもの(D)との結合であるが、この結合関係は恣意的である。犬を「犬」と呼ぶことに(①)のである。
他方、(②)は、言語行為論を掲げ、命令や約束に関する行為を行為遂行文と呼んで、事実確認文と区別した。たとえば、ある船の所有者が「私はこの船をエリザベス2世号と名づける」と宣言することは、事実を述べているのではなく、命名という行為を行っているのである。
問1) 文章中の(A)~(D)に入れるのに最も適当な組み合わせを選べ。
- A=パロール B=ラング C=シニフィアン D=シニフィエ
- A=ラング B=パロール C=シニフィエ D=シニフィエ
- A=パロール B=ラング C=シニフィエ D=シニフィアン
- A=ラング B=パロール C=シニフィアン D=シニフィアン
問2) 文章中の(①)に入る適当なものを選べ。
- 偶然性はない 2. 必然性はない 3. 対義性はない 4. 類義性はない
問3) 文章中の(②)に入る適当なものを選べ。
- リーチ 2. グライス 3. ファース 4. オースティン
[194]次の文章を読んで、後の各問に答えよ。
人間が認識することのできる音形などの表象(一般に知覚や記憶などをもう一度頭の中で思い描いて再現すること)に意味が与えられているものを( ① )という。( ① )は、硬貨の表と裏のように二面性を持っている。ソシュールはこのことを表して音形を( ② )、音形が表しているもの(意味)を( ③ )と呼んだ。この音形と意味の繋がりだが、たとえば「山」という単語について、その意味に対応する音形は/yama/である必然性はない。他の音の連続でも構わなかったはずである。このように( ② )と( ③ )との間に必然的な関係がないことを言語の( ④ )という。もう一つの例を見てみよう。日本語の「兄弟」とドイツ語の“geschwister”では、表すものは同じではない。ドイツ語の“geschwister”に等しくするためには、日本語では「兄弟」と「姉妹」が必要になる。この場合、ドイツ語にはない区別が日本語では必要になるわけだ。⑤それぞれの言語でそれが表される意味の範囲が異なるのである。
問1.文中の①~④に入る適当なものを選べ。
a.象徴 b.所記 c.比喩性 d.恣意性 e.能記 f.記号
g.絶対性 h.統合
問2.下線部⑤について、英語の“water”に当たる語の意味を日本語で表現するにはいくつの語彙が必要か(ごく一般的な意味の“water”であることを想定すること)。
a.1 b.2 c.3 d.4