#10. 言語教育法・実技(実習)

[92]次の文章を読んで、後の各問に答えよ。
言語学習にはさまざまな方法があり、どのやり方が最も優れているというような画一的な評価ができるというものではない。例えば、①「コミュニケーションを文法・語彙・表現などの細かい要素に分け、教室ではそれらの一つ一つを基本的なものから積み上げていって、その後にそれらを統合的に使用させる」という方法がある。
それとは別に、前述のようにまず学習、次に使用といった形で二段階にわけず、②「最初から学習者にタスクとしてコミュニケーションを経験させる中でコミュニケーション能力をシステムとして作り上げていく」という考え方に立った方法もある。
③「教師が命令文に従う動作を見せ、次に学習者に同様の動作をさせることによって、その命令文の意味を理解させ、実行させ、次第に命令文の種類や内容を拡大していく中で、学習者の聴解能力を育て、その延長として他の言語技能も獲得させる」という方法をとるものもある。

(1) ①、②のようなシラバスを何というか。
a 機能シラバス b 構造シラバス c 話題シラバス d 課題シラバス e 技能シラバス f 場面シラバス

(2) ①、②、③の方法を中心的に取り上げる外国語教授法を選べ。
  a コミュニカティブ・アプローチ
  b サイレント・ウェイ
  c オーディオ・リンガル・アプローチ
  d サジェストペディア
  e トータル・フィジカル・レスポンス・アプローチ
  f  コミュニティ・ランゲージ・ラーニング

[93]次の文章を読んで、後の問に答えよ。
 学習者の学力を評価する方法の一つにテストがある。時期により、内容により、出題形式により等、教師はいろいろなテストを用意して、学習者の学力を測定する。
 この中で、出題形式、採点形式から分類されたものが「客観テスト」「主観テスト」である。特に主観テストでは測定誤差がでやすいので、教師側は採点についてよく注意をする必要がある。次に挙げるものは、その測定誤差現象についての語である。
1)ハロー効果
2)寛大誤差
3)近接誤差
4)論理的誤差
5)対比誤差
6)中心傾向
7)系列現象

 1)~7)これらの語についての説明として適切なものをそれぞれひとつずつ選べ。
a. 極端な点数をつけにくいと感じて、真ん中あたりの得点に結果が集中してしまうこと。
b.評価目標とは無関係な事柄や先入観に評価が影響されること。
c.教師が自分が学習してきたことと比べて学習者の評価を甘くしたり厳しくしたりすること。
d.評価項目を測定する際に、誤って異なる特性を指標にしてしまうこと。
e.事前に見ていた過去の成績に評価が影響されること。
f.採点時に前の人の結果が後続の人の結果に影響を与えること。
g.評価が甘くなる傾向のこと。

[94]
問1 ロールプレイについて述べた。誤りを選べ。
1. ロールプレイとは、場面と役割を設定し、即興で対話をさせるドラマ活動である。
2. ロールプレイでは、現実のコミュニケーションと同じように、予期しないことにも対応する力を養うことにねらいがある。
3. ロールプレイは、与えられた言語表現の繰り返し練習ではない創造的作業であり、学習意欲も高める効果がある。
4. ロールプレイは、あらかじめ場面や状況に必要な語彙や表現を指導してから行わなければならない。
問2 次に挙げるロールカードを使ったロールプレイの特徴を最もよく表しているものを選べ。

ロールA:
会社員
状況: 映画のチケットが2枚あります。友だちのBさんを誘ってください。
あなたは今度の土曜日に行きたいと思っています。週末はいつも暇です。
(1)
Bさんを映画に誘ってください。

(2)
理由を聞いてください。  

(3)
来週の土曜日に一緒に行こうと、もう一度Bさんを誘ってください。

ロールB: 会社員
状況: 友だちのAさんに映画に誘われました。土曜日は仕事の都合で行けません。
見たかった映画なのでとても残念です。
ほかの日に変えてもらいたいと思っています。

(1)
Aさんの誘いを断ってください。

(2)
理由を話して、残念な気持ちを話してください。

(3)
ほかの日でもいいか、Aさんに聞いてみてください。

(4)
誘いを受けてください。

1. 相手とのやりとりによって譲歩したり、予定を変更したりという現実のコミュニケーションに近く、意味のあるロールプレイになると言える。
2. 会話の展開が決まっているということで、現実のコミュニケーションにはほど遠いロールプレイになるが、ロールプレイに不慣れな学習者や初級レベルの学習者にとっては適していると言える。
3. 現実に近い会話をよくとらえてロールプレイに結びつけようとしている。ただ、カードの指示の文言から相手の反応が予測されるという点が創造性という観点から言うと不完全である。
4. AもBも最初に言うことは決まっているが、そのあとは相手の反応によって、自分の言うことを考えなければならないという点でロールプレイに慣れていない学習者に適していると言える。