#05. 言語使用と社会

[47]次の文章を読んで、後の各問に答えよ。
 外国人が身につけるのに苦労する、あるいはなかなか身につけにくい学習項目の一つに「待遇表現」がある。これは、待遇表現というものが場面や状況に応じて使いこなさなければならない応用的な表現であるということが一番の理由であろう。
 日本語待遇表現は非常に日本的な心理過程を経て具体化する。つまり、( ① )ということである。逆の言い方をすれば、待遇表現が使いこなせて初めて「日本的な日本語」が使いこなせるということなのである。
初級待遇表現指導の重要な学習項目に「やりもらい」と言われるものがある。「やりもらい」本動詞は、補足語と述語動詞の類型という観点からは( ② )というパターンをとる動詞群を指す。同じパターンをとる動詞には「教える」「習う」「貸す」「借りる」なども存在する。これらの動詞とやりもらい動詞は、対象が動作主体から、あるいは動作主体に移るという点は同じである。やりもらい動詞が上記の動詞群と異なる基準となるのは( ① )という点である。

問1) 文章中の①・②に入る適当なものをそれぞれ一つ選べ。

  1. 相手と自分の立場、すなわち上位と下位、またウチとソトの区別の認識により使用される形式が異なる
  2. 相手の気持ちを尊重して、自己を強く主張することなしに伝達内容を悟らせようとする言語態度をとる
  3. 相手が当然知っていることであろうと思う事柄は、そのことを口に出して言わないという言語態度をとる
  4. 相手が年長である場合は決して尊大な態度はとらず、自己をへりくだる言語表現をとらなければならない

  1. 動作主体 が 相手 から 対象 を 動詞
  2. 動作主体 が 相手 に 対象 を 動詞
  3. 動作主体 は 相手 から 対象 を 動詞
  4. 動作主体 は 相手 に 対象 を 動詞

問2)次の選択肢の中から「やりもらい」本動詞だけを並べたものを一つ選べ。

  1. いただく、さしあげる、頂戴する、進呈する、拝領する、賜る
  2. くれる、まいる、いただく、うかがう、もうす、もらう
  3. くださる、おっしゃる、さしあげる、いらっしゃる、めしあがる
  4. あげる、もらう、くれる、いただく、さしあげる、くださる、やる

[48]次の文章を読んで、①~⑥に入る最も適当なものをそれぞれ一つ選べ。
 敬語の分類の仕方や分類したものの命名については従来多くの説がたてられ、議論の多いところである。これは分類の基準が、あるものは人称を主とし、あるものは話し手の敬意を示す対象を主とし、またあるものは敬意の表し方を主とするなど、まちまちであるためである。
 ここでは、今日、普通に考えられている「敬語」の概念を一応ふまえて、日本語教育上必要と思われる基礎的な知識をまとめてみる。
 普通「敬語」というものを「尊敬語・謙譲語・ていねい語」の三つに分類して考えることが多いが、これは話し手の( ① )を、分類の名称にそのまま当てはめたものである。これを「話し手・聞き手・話題の人」という関係でとらえ直し、そのうえで話し手の敬意の向けられる対象についてみてみると、従来の「尊敬語・謙譲語・ていねい語」ということばで言われているものは、並列的に三つ並べて扱うのは適当でないことがわかる。( ② )だけは別の扱い方をする必要があるのである。
 ( ③ )とは、話し手が話の素材になる人に対して、特にていねいな言い方をする(高い敬意を示す)ときに用いる語である。
 ( ④ )とは、話し手が話し手自身、または話題の人(話し手側の人が多くこれに当たる)の行動を、話し手が対等の関係にある人に言うときの言い方より低めて言い表すことによって、結果的に、相手及び話題の人を特にていねいに遇するのに用いる語を言う。 ( ⑤ )とは、普通、話をするときに直接相手に向けて使う形式である。
 これらとは別に、聞き手や話題の人に対するていねいなもの言いとして敬語を使うのではなく、女性の間で多く使われる、話し手自身の上品さを保持するための言い方といえるものがある。これを( ⑥ )という。

①:1.敬意の高低の違いに関する表現
  2.敬意の性質に当たる表現
  3.敬意の「うち・そと」の使い分けに当たる表現
  4.相手に対する敬意の明白度の違いに関する表現

1.尊敬語  2.謙譲語  3.ていねい語  4.美化語

1.尊敬語  2.謙譲語  3.ていねい語  4.美化語

1.尊敬語  2.謙譲語  3.ていねい語  4.美化語

1.尊敬語  2.謙譲語  3.ていねい語  4.美化語

⑥:1.尊敬語  2.謙譲語  3.ていねい語  4.美化語

[49]次の文章を読み、後の各問いに答えよ。
【敬意表現】
 言語使用に関わる対人的な関係は、基本的に上下もしくは(①)という次元、およびその延長線上に考えることができる。これらは丁寧な振る舞いをする(あるいはしない)際の言語的な方策の選択に際して重要な要因となる。
 上下とは、つまり一方がもう一方に対して上に立つか下に立つかという次元ではあるが、原理的には(①)と切り離すことができる。たとえば、職場における上司や親は一般に上下の関係にあるが、いつも顔を合わせているとすれば、近い関係にある。
 また、(①)は、自分より社会的な地位が低そうに見える人でも、道ですれ違うだけの間であるなら遠い存在であるので、たとえば日本語なら丁寧な方策が選択されるだろう。どのような要素が上限関係に関与するかも、文化によって異なると考えるべきであろう。

問1)文章中の(①)に入る最も適当なものを選べ。
1. 視点  2. 親疎  3. 恩恵  4. 礼儀

問2)敬語の使い方として、不適当なものを選べ。

  1. 先生が見えました。
  2. 明日お宅へまいります。
  3. 先生がお呼びしています。
  4. 昨日先生に申したとおりです。

問3)外国人との意思疎通と日本語の敬意表現について、最も適当なものを選べ。

  1. 相手の気持ちを不快にさせないように、婉曲な言い回しを用いる。
  2. 日本人の言語習慣として、文末の判断部分を相手の判断にゆだねる。
  3. 異なる言語習慣や文化を持つ相手に日本人以上の高い敬意表現を使用する。
  4. 相手の日本語の習熟度により、意図する内容が十分に理解できるように配慮する。

[50]次の文章を読み、後の問いに答えよ。
ブラウンとレビンソンが提唱した(1)とは、お互いのフェイス(face)を脅かさないような人間関係調整の配慮をいう。
その配慮のストラテジーとして、他者に好かれたい、認められたいという欲求(ポジティブ・フェイス)を満たそうとするのがポジティブ・(1)であり、他者に邪魔されたくない、立ち入られたくないという欲求(ネガティブ・フェイス)を脅かさないようにするのがネガティブ・(1)である。ネガティブというのは「否定的な」という意味でも、消極的なという意味でもないということに注意する必要がある。

問1)文章中の(1)に入る最も適当なものを選べ。

  1. アサーティブ
  2. ポライトネス
  3. アフォーダンス
  4. アコモデーション

問2)フェイス侵害行為はどのように呼ばれるか。

  1. FAQ
  2. FEP
  3. FTA
  4. FIAS

問3)親が子ども部屋を片付けて欲しいと思っている場合、ネガティブ・フェイスを尊重した言い方として最も適当なものを選べ。

  1. 片付けなさい。
  2. 最近、忙しそうだね。
  3. このガラクタ、何とかしようよ。
  4. 時間があいた時でいいから、片付けてくれないかな。

[51]【 】内に示した観点から見て,他と性質の異なるものを一つ選べ。
【若者言葉】

  1. 今のバイト代,マジぱねえんだよ。
  2. あの3D映画ね,普通にすごかったよ。
  3. この俺様に逆らうってのか。いい度胸だ。
  4. 何このケーキ,マジやばいよ。やばすぎる。
  5. カードの請求書が届いて思わずガン見したよ。